鋳造工程の廃棄物でガス吸脱着材を開発 CO2の回収も視野:脱炭素
中央可鍛工業は、名古屋大学発のスタートアップ企業であるSyncMOFと共同で、鋳造工程で発生する廃棄物を原料として、多様なガスを選択的に吸脱着するMOF「Castreasure(キャストレジャー)」を開発したと発表した。
中央可鍛工業は2025年6月16日、名古屋大学発のスタートアップ企業であるSyncMOFと共同で、鋳造工程で発生する廃棄物を原料として、多様なガスを選択的に吸脱着するMOF(Metal Organic Frameworks)「Castreasure(キャストレジャー)」を開発したと発表した。
MOFは金属イオンと有機配位子から合成される金属有機構造体だ。代表的な多孔性材料である活性炭やゼオライトと比べ、大きな比表面積を有している。さらに、構造因子である金属イオンと有機配位子を選べるため目的とする物質の選択的な吸脱着が期待されている。
Castreasureは市販試薬から合成されたMOFと同等以上の吸脱着性能を備えている。加えて、鋳造工程で回収/除去される廃棄物の多くは収集後に、専門業者を通じて処理されるため、この未活用資源の有効利用にもつながる。鋳造工程で発生するCO2をCastreasureで吸着/除去することで、CO2排出量の削減にも貢献する。
今後、両社はCastreasureの形状加工や耐久性の確認を経て、実用化に向けた開発を進めていく。工場や発電所などから排出されたCO2を他の気体から分離して集め、新たな製品の製造に利用するプロセス「CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)技術」や、大気中のCO2を直接回収する「DAC(Direct Air Capture)技術」へのCastreasureの適用についても研究する。
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