地を駆け空を舞う球体ドローンを化学メーカーが開発:Japan Drone 2025
DICは、「Japan Drone 2025」において、全方位マルチコプター「HAGAMOSphere(アガモスフィア)」を披露した。
DICは、「Japan Drone 2025」(2025年6月4〜6日、幕張メッセ)において、全方位マルチコプター「HAGAMOSphere(アガモスフィア)」を披露した。早ければ2026年末までに実用化を目指す方針である。
HAGAMOSphereは、立方体フレームに8つのプロペラを搭載しており、平衡を保った状態で水平方向と垂直方向を移動する「並進飛行」ができる球体ドローンである。さらに、幾何学形状の球体ガード内に本体構造を格納することで、サッカーボールのように地上を回転しながら移動する「地上回転」も可能な設計になっている。
現時点では、並進飛行と地上回転が可能なHAGAMOSphereをそれぞれ開発して要件や特性を確認している段階。今後の実用化に向けて、2つの移動モードを兼ね備えられるように開発を進めていく方針である。「地上回転では、転がることによって飛行するより使用電力を削減できるので、より遠くまで移動できるだろう」(DICの説明員)。
化学メーカーであるDICは新規事業開拓に力を入れており、HAGAMOSphereもその一つになる。同社はHAGAMOSphereの地上回転にも適用可能なドローン用衝撃吸収ガードをはじめドローン向けの材料や部品を研究開発しており、マルチコプターを研究する徳島大学 准教授の三輪昌史氏や、ドローン開発やカスタマイズを専門とする菱田技研工業との協業によりHAGAMOSphereの開発につなげた。
なおHAGAMOSphereは、2025年1月に米国で開催された「CES 2025」で初披露され、ドローン部門でイノベーションアワードを受賞しており、今回が日本国内での初公開となった。
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