6000人のエンジニアが不足、日本が強み持つ半導体製造装置産業の課題:FAニュース(2/2 ページ)
Quest Globalの日本法人クエスト・グローバル・ジャパンが東京都内で記者会見を開き、日本の半導体製造装置開発におけるエンジニア不足の現状を語った。
早まる開発サイクル、インド人エンジニアの活用がカギに
2つ目は、開発スピードだ。市場投入までの期間が短ければ短いほど、ビジネスチャンスが生まれる。「欧米の競合メーカーと戦わなければならないため、日本の半導体製造装置メーカーでは、開発スピードをいかに早くするかが大きな課題になっている」(高木氏)。
3つ目は、顧客対応のための人材不足となる。デバイス製造メーカーは、独自色を出すためにさまざまな特注仕様を半導体製造装置メーカーに依頼する。そういったユーザー対応のために人材も割かなければならない。
人材派遣会社を利用しても、紹介される人材はほとんど経験がない第2新卒か、定年直前または既に退職した人たちに2極化しているという。「本当に必要なミドル層の人材は紹介されない。若い人たちは、古い仕事に対してモチベーションは高くない。新しい装置やソリューションの開発の方がモチベーションが上がる。では、誰がそれらをやるかという課題がある」(高木氏)。地方に拠点がある場合、若い人材の採用にも難しさがある。
クエスト・グローバルでは、古い装置のソフトウェアメンテナンスサポートを行っている事例があり、古いソースコードで情報も足りない中、不足している設計資料の追加、修正も行っているという。また、半導体製造装置の制御プラットフォームを自社開発しており、「半導体製造装置の新興企業にカスタマイズして提供し、ユーザーが装置を販売する例もある」(高木氏)。
同社では日本だけでなく、インドでの採用に力を入れている。インドはIT大国として知られ、毎年150万人の工学系の学生が卒業するという。「日本に行きたいという人もたくさんいる。われわれとしても、その中で日本語が話せる人材を育て、日本に来てもらい、日本における構造的なエンジニア不足の解消に貢献したい」(貫名氏)。
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