29.4MPa充填温度制御式多連型充填システムで高圧水素ガスを短納期/低コストで提供:製造マネジメントニュース
ミライト・ワンは、水素をエネルギー源として使用する小型の移動手段「水素マイクロモビリティ」や小型燃料電池製品の利用者向けに、小容量高圧水素ガスの販売を2025年6月11日に開始した。
ミライト・ワンは2025年6月11日、水素をエネルギー源として使用する小型の移動手段「水素マイクロモビリティ」や小型燃料電池製品の利用者向けに、小容量高圧水素ガスの販売を同日に開始したと発表した。
充填設備は大阪府内に建設し、大阪を拠点に全国への配送を予定している。水素ガスの充填には、29.4MPaで充填温度を制御して高圧水素(小型複合)容器10本を同時に充填可能な専用設備を開発し、短納期で安価なサービス提供を実現した。同社の調べによれば、こういった設備の開発は国内初だ。
年間最大7200本の生産能力を有す水素充填システム
小容量水素ガスを取り巻く環境に関して、近年は小型燃料電池の開発が進み、マイクロモビリティや可搬型燃料電池の分野などでの製品化が拡大する一方、水素サプライチェーンの整備や、水素ガスを小容量水素容器へ充填するためのシステム開発が課題となっていました。
ミライト・ワンは、2022年度から3年間にわたり、グループ会社の近畿電機とともに、大阪府が実施している「カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の1つとして、カーボンニュートラルの実現で求められる水素社会の実現を目指し、それらの課題に取り組んできた。
2024年度末で実証期間が終了し、小型水素容器への充填システムの開発や、充填から輸送、利用までの一連の水素サプライチェーンを確立できたことから、2025年度に水素マイクロモビリティや小型燃料電池の利用者向けに小容量高圧水素ガスの販売を開始した。
また、付帯サービスとして、水素容器や水素燃料電池のレンタル/機器の販売、定期稼働/点検などの保守、燃料電池導入支援やコンサルティング業務も提供し、水素ガスの供給から燃料電池製品の運用までをカバーしたサービス展開を目指している。
なお、水素充填システムについては、開発した専用設備により、6.8リットル(l)小型高圧水素容器(水素量153g)を10本同時に充填でき、年間最大7200本の生産能力を備えている。さらに、1.1l、2.8l(充填圧力19.6MPa)の容器にも対応。利用用途として、水素マイクロモビリティだけでなく、工事現場や各種保守作業で使われる可搬型電源としての活用や、災害発生時、データセンターやオフィス、携帯基地局、避難所での非常用電源としての活用など、幅広い分野での活用を見込んでいる。
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