国内でのシェア拡大なるか!? PTCの最新3D CAD「Creo 12」はどう進化した?:CADニュース(3/4 ページ)
PTCジャパンは、3D CADソリューションの最新版「Creo 12」に関する記者説明会を開催した。同社 社長執行役員の神谷知信氏は、大型アップデートとなったCreo 12のリリースを皮切りに、日本市場での展開をさらに強化する考えだ。
複合材のための設計
「複合材のための設計」では、FRP(繊維強化プラスチック)をはじめとする複合材に対応した設計機能が強化されている。「Creoは他社の3D CADと比較して高機能な複合材設計ツールを備えており、大きな差別化ポイントになっている」(財前氏)。
この機能はCreo 10で初搭載され、Creo 11ではゾーン単位での複合材構成機能が追加された。多数のゾーンを作成する際には、隣接する領域を自動的に併合する機能があり、複合材構造を効率的に作成できるという。
電動化のための設計
「電動化のための設計」では、電動化が進む自動車などに対応し、ソフトウェア制御や電気系統が増加する近年の製品開発に合わせた設計機能の改善が進められている。
具体的には、協調型ハーネス設計機能の強化が図られており、「今回のバージョンでは、ハーネスをアセンブリとして扱うことで、Creoの得意とする大規模アセンブリ機能をケーブル設計にも活用できるようになった」(財前氏)という。
また、ECAD(電子CAD)との連携も強化されている。プリント基板データの読み込みに対応し、電気的な情報を機械設計側でも活用できるようになった。電気と機械(エレメカ)の協調設計が重要視される中、「いかに多くの電気的情報を正確にCreo内で読み取り、設計に反映させるかが鍵であり、この点でも機能が着実に進化している」(財前氏)。
シミュレーション主導の設計
「シミュレーション主導の設計」では、オープンアーキテクチャとAI技術を活用し、設計と解析の高度な統合によって、設計品質と開発スピードの両立を実現している。
Creoのシミュレーション機能ではAnsysのソルバーを採用しており、常に最新バージョンを適用している。現在の最新は「25R1」だ。リアルタイムシミュレーション機能「Creo Simulation Live」では、接触の自動生成、結果の視認性向上、ボルト構造のサポートなどが追加された。
また、AI駆動によるジェネレーティブデザインにおいては、新たに熱解析がサポートされ、従来対応していた静解析や固有値解析に加え、マルチフィジックス解析が可能になった。「ジェネレーティブデザインによる形状生成からAnsysのソルバーによる解析まで、Creo単体で設計から評価まで完結できることがCreoの強みだ」と財前氏は語る。
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