ヒューマノイドロボット開発向け基盤モデルとデータ生成ツールを発表:人工知能ニュース
NVIDIAは、ヒューマノイドロボット開発向け基盤モデル「NVIDIA Isaac GR00T N1.5」と、合成データ生成用ブループリント「NVIDIA Isaac GR00T-Dreams」を発表した。
NVIDIAは2025年5月20日、ヒューマノイドロボット向けの基盤モデル「NVIDIA Isaac GR00T N1.5」と、合成モーションデータ生成用ブループリント「NVIDIA Isaac GR00T-Dreams」を発表した。
GR00T-Dreamsは、膨大な量の合成モーションデータの生成を支援するもので、環境変化への適応方法など、新しい行動をロボットに教えるために使用できる。
開発者はまず、ロボット向けに世界基盤モデルを用いてポストトレーニングし、次に1枚の画像を入力として使用し、ロボットが新しい環境で新たなタスクを実行する動画を生成する。そこから抽出した圧縮データを用いて、ロボットに新しいタスクの実行方法を教える。
GR00T N1.5は、GR00T-Dreamsのブループリントを活用して合成トレーニングデータを生成し、わずか36時間で開発された。新しい環境や作業スペースの構成に柔軟に適応し、ユーザーの指示によってオブジェクトを認識できる。オブジェクトの仕分けや収納、製造業務における成功率が大幅に向上した。
さらに、ロボット開発向けにNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellなどを搭載したワークステーションやサーバを発表した。大規模トレーニングやデータ生成ワークロードの実行に多くの計算処理が必要なとき、クラウドパートナー提供のDGX CloudやBlackwellシステムを活用することで、最大18倍の性能向上が達成できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「Jetson AGX Thor」が実力をチラ見せ、AI処理性能は従来比7.5倍の2070TFLOPSに
アドバンテックは、「COMPUTEX TAIPEI 2025」において、NVIDIAの次世代組み込みAIボード「NVIDIA Jetson AGX Thor」を搭載する高性能エッジAIプラットフォーム「MIC-743」を披露した。ロボット導入に積極的な中国と消極的な日本――QNXの調査で浮き彫りに
組み込みシステムの開発プラットフォームを展開するQNXはこのほど、世界各国の医療、製造、自動車、重機産業の経営幹部1000人を対象にロボットの導入に関する最新調査を実施した。同調査では、ロボット導入に対する日本と中国の考え方の違いが浮き彫りになった。米中が先行する汎用ロボット、日本がロボット大国に返り咲くには何が必要なのか
転換点を迎えるロボット市場の現状と今後の見通し、ロボット活用拡大のカギについて取り上げる本連載。最終回となる第6回は、米国と中国が先行する汎用ロボットについて解説するとともに、日本がロボット大国に返り咲くために何が必要なのかを論じる。日本の汎用ロボット開発の起爆剤となるか、基盤モデル構築目指すAIRoAが発足
AIロボット協会(AIRoA)が設立の背景や今後の活動内容について説明。立ち上げ1年目となる2025年度は、初期開発段階としてAIロボット開発のベースとなる基盤モデルの開発と公開を行い、2026〜2029年度にこの基盤モデルの改良と社会実装を進めながら、2030年度以降に開発コミュニティーによるAIロボットの社会普及に移行していくことを目指す。NVIDIAのファンCEOが断言「ロボットAI革命をリードするのは日本がふさわしい」
NVIDIAが東京都内で開催したユーザー向けイベント「NVIDIA AI Summit Japan」の基調講演にCEOのジェンスン・フアン氏が登壇。生成AIの登場によって「AIエージェント」と「フィジカルAI」という2つのAIアプリケーションが普遍的に利用されるようになり、特にフィジカルAIによるロボットの進化は日本がリードすべきと訴えた。NVIDIAの新アーキテクチャ「Blackwell」は生成AI特化、汎用人型ロボットにも適用
NVIDIAは「GTC 2024」において、新たなGPUアーキテクチャ「Blackwell」を発表。AI処理性能で前世代アーキテクチャ「Hopper」の5倍となる20PFLOPSを達成。生成AIの処理性能向上にも注力しており、Hopperと比べて学習で4倍、推論実行で30倍、消費電力当たりの処理性能で25倍となっている。