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スーパー耐久に「低炭素ガソリン」、レースの厳しい環境で各社が開発:脱炭素
ENEOSは「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025」においてエタノール混合ガソリンの提供と開発実証を始めた。SUBARU、トヨタ自動車、日産モータースポーツ&カスタマイズ、マツダにエタノール混合ガソリンを提供する。
ENEOSは2025年6月2日、「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025」においてエタノール混合ガソリンの提供と開発実証を始めたと発表した。SUBARU(スバル)、トヨタ自動車、日産モータースポーツ&カスタマイズ、マツダにエタノール混合ガソリンを提供する。
エタノール混合ガソリンは、バイオエタノールを使用したE20(エタノール20%混合ガソリン)だ。バイオエタノールに使用するグルコースやセルロースを含む植物資源が生育中に大気中のCO2を吸収したことから、通常のガソリンよりもCO2排出量が少ない「低炭素ガソリン」だとしている。
バイオエタノール混合ガソリンについては、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも言及されており、官民が協力して導入に向けた環境を整備する。ENEOSスーパー耐久シリーズでのE20供給を通じて自動車メーカーと燃料メーカーが協力し、レースの厳しい条件下での開発と実証を進める。E20はJIS規格が定義されておらず、技術情報も不足しているため、ENEOSは燃料メーカーとして課題解決に取り組む。
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