三菱電機がFA統合コントローラー発売、1.2ms/128軸、最大256軸の制御:FAニュース
三菱電機は、1.2ミリ秒/128軸の高速制御や最大256軸の多軸制御に対応した、FA統合コントローラー「MELSEC MXコントローラ」を発売した。全機種にCC-Link IE TSNネットワークを内蔵する。
三菱電機は2025年5月7日、1.2ミリ秒/128軸の高速制御や最大256軸の多軸制御に対応した、FA統合コントローラー「MELSEC MXコントローラ」を発売したと発表した。
全機種にCC-Link IE TSN内蔵、軸ごとに異なる演算周期も
同コントローラーは、全機種にCC-Link IE TSNネットワークを内蔵。1台で2ミリ秒、500マイクロ秒、125マイクロ秒と3種類の演算周期を混載可能で、軸ごとに異なる演算周期を設定できる。シーケンス制御とモーション制御を一体化し、マルチコアMPUをソフトウェア上で実行することで、モーション制御性能は従来比で約10倍に向上。巻取機や塗布装置のような速度の異なる軸が混在しても、高速軸の制御性能を確保しながら装置を安定稼働できる。
1ツールでシーケンスとモーションをプログラミングできるエンジニアリングツール「MELSOFT GX Works3」に加え、ファンクションブロックを使ったノーコードプログラミング機能を追加している。国際標準規格であるPLCopenの「Motion Control FB」を使って短時間で設計できる。また、AI(人工知能)を使ったデータフロー解析やウォッチウィンドウなどの各種デバッグ機能を標準搭載。プログラムで使用するデバイスラベルの影響範囲やプログラムの構造を視覚的に確認できる。
最新のサイバーセキュリティ規格で国際標準規格のIEC62443-4-2認証の取得を進めており、異なるOS間の産業通信用データ交換標準OPC-UAサーバを搭載する。OT領域内外の通信暗号化やユーザー認証機能により、盗聴や不正アクセスを防ぎ、資産の流出や装置の誤動作防止を図った。コントローラーの起動時にプログラムの改ざんを検出する機能や、対応ユーザーごとにアクセス権限や操作権限を設定できるユーザー認証機能なども追加した。
また、デジタルツインに対応するため、3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini」やロジックシミュレーター「MELSOFT Mirror」と連携。システムを事前検証することで、工数を大幅に削減できる見込みだ。設備に異常が発生した場合も、異常解析のために製造ラインを止めてデータ収集する必要はなく、自動ロギング機能によって速やかに原因を追究可能だ。
最大16軸のモーション制御に対応の「MXF100」、最大64軸に対応の「MXR300」、最大256軸に対応の「MXR500」を用意する。今後も、ネットワーク対応、保全機能、上位システム連携等の機能を強化するなど、機能を拡充していく計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
三菱電機は3年間で1兆円のM&A投資を見込むが、8000億円規模の事業で終息見極め
三菱電機は経営戦略について説明した。構造改革として2025年度中に8000億円規模の事業見極めを行う方針を示した他、今後3年をめどに1兆円をかけて新たなM&Aを進める計画などを明らかにした。三菱電機の2024年度業績は過去最高、トランプ関税は最大700億円強の損失見込む
三菱電機の2025年3月期連結決算は、売上高、営業利益、当期純利益など主要項目で過去最高を更新する好結果となった。エコキュート製造の三菱電機 群馬工場 翻訳サイネージ含む自動化の最前線
カーボンニュートラルで注目を集める「エコキュート」だが、新たな価値提案を重ねながらエコキュート製品で着実な成長を遂げているのが三菱電機だ。その中心拠点である三菱電機 群馬製作所のモノづくりの強みについて紹介する。三菱の次世代インバータは立ち上げ作業の効率化追求、多様化する生産現場に対応
三菱電機は2025年1月にインバータの最新モデルとして「FR-D800シリーズ」を発売し、多様化する生産現場のニーズに応えようとしている。万博に登場、三菱電機はFA機器とパッションフルーツの“日よけ”で何を生む?
三菱電機は2025年4月13日に開幕する「2025年大阪・関西万博」において、同社のFA技術を活用した「IoTグリーンシェード」を展示する。メンバーの愛と情熱が源、ルービックキューブ世界最速ロボ開発秘話(前編)
三菱電機の若手メンバーが開発した「パズルキューブを最速で解くロボット」がギネス世界記録に認定された。製作に当たった同社 コンポーネント製造技術センターの若手メンバーに開発の背景などを聞いた。