CAEの高速化/高精度予測を支援するサロゲートモデル受託開発サービス:CAEニュース
アラヤは、AI技術を用いてCAEの物理シミュレーションを高速化する「AI活用サロゲートモデル受託開発サービス」の提供を開始。最先端のAI技術を活用した開発済みのサロゲートモデルをベースにカスタマイズすることで、性能評価を容易に実現できる。
アラヤは2025年5月20日、AI(人工知能)を活用した「AI活用サロゲートモデル受託開発サービス」の提供開始を発表した。
近年、CAEツールを用いた物理シミュレーションは製品開発に不可欠なプロセスとなっているが、解析には膨大な計算時間とリソースを要する点が課題である。また、その解決策として、AIを活用したCAEの高速化が進められているが、従来手法では大量の学習データが必要であり、AIモデルの解釈性や信頼性にも課題が残されていた。
同社は、こうした課題に対処するため、CAEのサロゲートモデルを比較的短期間で開発する受託サービスを開始する。CNN(Convolutional Neural Network)やGNN(Graph Neural Network)、Transformer、物理法則の組み込みなど、最先端のAI技術を活用した開発済みのサロゲートモデルをベースにカスタマイズすることで、性能評価を容易に実現できる。
「AI活用サロゲートモデル受託開発サービス」の活用メリット
同社にはCAEとAIの双方に精通した横断型エンジニアが在籍しており、長年のCAE解析ノウハウと最新AI技術を融合することで、従来見落とされがちだった複合的なインサイトを引き出し、高精度な予測や自動化を実現する。さらに、コンサルティングから実装、運用までをワンストップで提供し、現場の課題に即応したAIソリューションの設計/開発/導入を可能にする。
同サービスでは、少量の学習データでも高精度な予測が可能なサロゲートモデルを構築できる。特に、複雑形状や非構造メッシュデータへの適応性に優れるGNNやTransformerを活用することで、従来のAI技術では困難だった形状や物理現象も高精度に捉えられる。
また、物理法則を組み込むことにより、従来のサロゲートモデルと比べて、学習データ数の削減、予測精度と信頼性の向上が期待される。
製品形状の画像やメッシュデータを直接入力し、物理量の2D/3D分布や性能評価値などの物理シミュレーション結果を出力するエンドツーエンドの解析プロセスを提供する。複雑な前処理や後処理の工程を簡素化することで、設計プロセス全体の効率化にもつなげられる。
同サービスは、自動車業界における車体設計、航空宇宙分野での機体開発、建築分野の空調設計、防衛産業領域など、幅広い産業分野に適用可能である。流体解析、熱解析、電磁界解析など、さまざまな物理現象のシミュレーションに対応し、製品開発プロセスの効率化と高付加価値化を支援する。
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
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