利用シーンから“逆算”したモノづくり、独自の「ダレスバッグ」に込めた設計思想:新製品開発に挑むモノづくり企業たち(10)(3/3 ページ)
本連載では、応援購入サービス(購入型クラウドファンディング)「Makuake」で注目を集めるプロジェクトを取り上げ、新製品の企画から開発、販売に必要なエッセンスをお伝えする。第10回は、兵庫県豊岡市発のファクトリーバッグブランド「ARTPHERE(アートフィアー)」が手掛けた、ダレス構造のショルダーバッグ「TONDO ワイドショルダー」について取材した。
鞄にこだわらず、ユーザーの課題解決に資するモノづくりを
――今後の展望を教えてください。
森下氏 私たちは、さまざまな鞄を作れる技術や生産体制を有していますが、それだけに「今どのようなものが求められているのか」という視点の重要性を、以前にも増して強く感じています。
単に「自分たちが作りたいから」という理由ではなく、お客さまのライフスタイルに合っているか、あるいは潜在的に求められているものなのかを見極めながら、丁寧に向き合っていきたいと考えています。
また、私たちのフレーム技術は、鞄に限らず、防災や収納といった他の分野にも応用できる可能性を秘めています。そう考えると、「今はたまたま鞄という形をとっているだけ」であって、ユーザーの課題を起点に発想すれば、鞄以外の異なるプロダクトとして展開することも十分にあり得ます。
課題を抱え、その解決策として商品を求めている方々の熱量に応えられるようなモノづくりを、今後も目指していきたいと考えています。そこにこそ差別化の余地があり、われわれの強みが発揮できる部分だと確信しています。
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筆者紹介
長島清香(ながしま さやか)
編集者として地域情報誌やIT系Webメディアを手掛けたのち、シンガポールにてビジネス系情報誌の編集者として経験を重ねる。現在はフリーライターとして、モノづくり系情報サイトをはじめ、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
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