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履き心地と風合いを両立した「双糸デニム」 若手が集まる老舗メーカーの描く未来新製品開発に挑むモノづくり企業たち(4)(1/2 ページ)

本連載では応援購入サービス(購入型クラウドファンディングサービス)「Makuake」で注目を集めるプロジェクトを取り上げて、新製品の企画から開発、販売に必要なエッセンスをお伝えする。第4回は内田縫製の「双糸-SOUSHI-デニム」を取り上げる。

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市場環境が変わる中、B2B事業で培った技術を生かして新たにB2C製品を作るモノづくり企業が増えている。大きなチャンスだが、今までと異なる機軸で新製品を作る上では大変な苦労もあるだろう。本連載では応援購入サービス(購入型クラウドファンディングサービス)「Makuake」のプロジェクトをピックアップし、B2C製品の企画から開発、販売に至るまでのストーリーをお伝えしたい。


 若者を中心に「デニム離れ」が進むといわれる中、自社ブランドを立ち上げて経営再建を進めている老舗ジーンズ縫製メーカーがある。1969年の創業以来、岡山県津山市で日本製ジーンズの黎明期を担ってきた内田縫製だ。

 分業が一般的である縫製業界において、縫製から仕上げまでを一貫して担えるなど、その縫製技術の高さは世界的に評価されている。近年では海外のハイブランドメーカーからも受注しているそうだ。

 長らくOEMでのジーンズ製造を中心に手掛けてきた同社だったが、2016年にD2C(Direct to Consumer)のファクトリーブランドとして「UCHIDA HOUSEI」を立ち上げ、2022年にはMakuakeのプロジェクトにも挑戦した。

 その経緯や自社ブランド設立の狙いについて、内田縫製 取締役の内田泰造氏に話を聞いた。

内田縫製 取締役の内田泰造氏(左)と兄の内田直行氏(右)
内田縫製 取締役の内田泰造氏(左)と兄の内田直行氏(右) 出所:内田縫製

自治体の支援を受けて自社ブランド立ち上げ

――大手メーカーなどからのOEM受注が堅調な中で、2016年に自社ブランド「UCHIDA HOUSEI」を創設しました。その背景を教えてください。

内田泰造氏(内田氏) 当社は私の祖父の代からずっと縫製の下請けをしています。最近では縫製工場が少なくなっている状況もあり、大手企業から大ロットの仕事を継続的に頂いていました。ですが正直なところ、業界全体の構造の問題として、工賃が低く、厳しい状況にありました。

内田縫製が制作したデニムジーンズ
内田縫製が制作したデニムジーンズ[クリックして拡大] 出所:内田縫製

 そこで現社長である父が、仕事の量はそのままに利益率を上げる手段として、自社ブランドの設立を考えたんです。父は当初から「従業員のボーナスを増やすために自社ブランドを作るんだ」と言っていましたね。

――自社ブランド立ち上げのために、具体的にどのような手順を踏まれたのでしょうか。

内田氏 僕と兄が入社する前のことですが、最初は自社ブランドを立ち上げたい気持ちはあったものの、何をどうすればいいか分からない状態だったようです。そこで大きく助けられたのが行政のバックアップでした。

 津山市には「つやま産業支援センター」という地域の中小企業の支援機構があります。そこが中心となって市内企業の商品をブランド化し、全国に発信する「MADE IN TSUYAMA」といったプロジェクトがあります。その一環で、当社のジーンズのブランド化も進めてもらいました。そこから勢いで進んでいったという感じですね。

――自社ブランドの立ち上げ後、苦労なさったことはありますか。

内田氏 やはり知名度を上げることが一番大変でした。いろいろなメーカーさんのジーンズを縫わせてもらっているのでモノづくりはできるのですが、商品の存在や良さをどう消費者に伝えるかが問題でした。今も課題だと思っています。

 最初はさまざまな販売イベントに足を運んで、「津山市という田舎で僕たちが作っているんですよ」と手売りしながらブランドを覚えてもらい、ファンを増やす活動をひたすら繰り返しました。そして、SNSも必ず毎週更新するようにしていましたね。これらを現在までずっと、地道に続けています。

 加えて、大きな転機となったのがMakuakeプロジェクトに挑戦したことです。これによって多くの方に自社ブランドを知ってもらうことができました。

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