AUTOSARを「学ぶ」にはどうすればいいのか:AUTOSARを使いこなす(36)(3/3 ページ)
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第36回は、人材育成の観点からAUTOSARを「学ぶ」ことについて考える。
AUTOSAR内でも共通カリキュラムを議論するUGが立ち上がる
こうした考えをまとめていたとき、2023年に、共通カリキュラムについて議論するためのユーザーズグループである、AUTOSAR User Group Education and Training(UG-ET)が立ち上がりました。
そのキックオフ会議では、筆者が開発し所属企業であるイーソルで提供している「AUTOSAR CP研修」のコース設計資料や内容(概要)とともに、上記のような、経験に基づく観察とアイデアを共有しました。
AUTOSARでのUG(User Group)活動は、WG(Working Group)活動とは異なり、AUTOSAR Associate Partnerであっても参加が可能です。
また、国内事情※3)への考慮も必要ですから、むしろ今後は読者の皆さまをはじめ国内自動車業界の方々を巻き込んでの討議が必要でしょう。
近いうちに、AUTOSAR Japan Hubより国内のAUTOSAR Partnerの皆さまに、日本国内での活動立ち上げのご案内を差し上げることができると思います(UG-ET内の調整を進めています)。
受講後に、自らが携わる具体的な活動/作業を実行できるという自信を最終的に持つことができれば、それは既に成功への道を歩み始めた証です。
そして、その成功は、UG-ETそしてAUTOSAR全体の成功にも貢献するものですので、今後もアップデートがあれば随時ご紹介してまいります。
次回に続く
次回は2025年6〜7月ごろを予定しています。内容は、AUTOSAR Japan HubやUG-ETの活動に関するアップデートや、AUTOSAR Open Conference(2025年5月末開催です)に関するご報告を考えています。
筆者プロフィール
櫻井 剛(さくらい つよし)イーソル株式会社 ビジネスマネジメント本部 Solution Architect & Safety/AUTOSAR Senior Expert/AUTOSAR日本事務局(Japan Hub)
自動車分野のECU開発やそのソフトウェアプラットフォーム開発/導入支援に20年以上従事。現在は、システム安全(機能安全、サイバーセキュリティ含む)とAUTOSARを柱とした現場支援活動や研修サービス提供が中心(導入から量産開発、プロセス改善、理論面まで幅広く)。標準化活動にも積極的に参加(JASPAR AUTOSAR標準化WG副主査、AUTOSAR文書執筆責任者の一人)。2024年よりAUTOSAR日本事務局(Japan Hub)も担当。
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