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住友ゴム白河工場で水素製造装置が稼働 「つくる」「つかう」二刀流の効果とは?:脱炭素(2/2 ページ)
住友ゴム工業は、白河工場(福島県白河市)で2025年4月に稼働を開始した水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム(500kWワンパッケージモデル)」の見学会を行った。
住友ゴムにおける水素活用の経緯
住友ゴムは、2021年にサステナビリティ長期方針「はずみ未来チャレンジ2050」を策定し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みをグループ全体で進めている。はずみ未来チャレンジ2050とR.I.S.E. 2035で設定している7つの重要課題(マテリアリティー)のうち「気候変動」では、「CO2排出量の削減を推進する企業」をありたい姿に掲げ、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す。この目標に向けた取り組みの一環として、水素の活用に挑戦することを決定した。
同社はNEDOおよび福島県から支援を受け、2021年8月〜2024年3月に白河工場で水素を活用したタイヤ製造の実証実験を行った。実証実験では、福島県内の水素製造拠点から供給される水素を活用し、水素ボイラーで発生させた高温/高圧の蒸気を、タイヤ製造の最終段階である加硫工程で活用。加硫工程は、加熱と加圧によりゴムに弾性を与え、タイヤとしての形状と性能を完成させる重要なプロセスだ。
2023年1月には、水素エネルギーと太陽光発電を組み合わせることで、製造時(Scope1、2)におけるカーボンニュートラルを達成したタイヤの量産を開始している。
これらの成果を含む実証実験の結果を踏まえ、同社は2024年5月に、山梨県と「グリーン水素の活用による脱炭素化に係る基本合意書」を締結し、白河工場へのやまなしモデルP2Gシステムの導入を決定した。
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