“踊り場”協働ロボット市場にサービス体制強化で挑むユニバーサルロボット:協働ロボット(2/2 ページ)
ユニバーサルロボットの日本支社は2025年6月から提供する新たなサービス体制について説明した。日本に修理施設を開設し、修理リードタイムを短縮するなど、ユーザーサポートを強化する。
遠隔サポートやパフォーマンスチェックも導入
新たなユーザーサポートも開始する。保守契約サービス「UR Care]の一部として、遠隔サポート「UR Connect」を追加した。
UR Connectではユニバーサルロボットの担当者が直接ユーザーのロボットにアクセスしてのログ解析や、遠隔操作を用いた画面共有での技術サポートが可能になる。
ユーザー自身も、プログラム実行中や停止中などの状況や稼働時間などのロボットの状態をWebブラウザ上で確認できる。登録したロボットに異常が発生した場合、SMSでアラートを受け取れる。
「複数のメーカーのロボットを導入した生産ラインが止まった場合に、SMSを見れば止まったのがユニバーサルロボットのものだと分かるので、すぐに復旧に取り掛かることができ、ダウンタイムの短縮につながる」(ユニバーサルロボット フィールドサービスエンジニア 河野正和氏)
ユーザーのロボットの稼働状態を分析して、改善提案を行う「パフォーマンスチェック」もスタートさせる。専用のプログラムが組み込まれたUSBメモリをティーチングペンダントに差すとデータを自動的に抽出し、機械的に解析する仕組みになっている。
特定のジョイントにおけるトルクの急上昇や現象が発生しているプログラムの場所、保護停止の発生履歴などを確認でき、「どこを改善すればロボットへの負荷が軽減されるのかなど、協働ロボットをより長く活用するためのポイントが記されており、予防保全に役立つ」(河野氏)。
「これまでは“まずは協働ロボットを使ってみよう”というフェーズだったので、従来の体制でもそれほど問題にならなかったが、導入台数を一気に増やしたいユーザーも出てきた。その中で、“ユニバーサルロボットの協働ロボットをこれ以上導入して大丈夫なのか”という声を何度も聞いた。新規のユーザーが導入を検討する中で、“修理は海外で、部品は日本にない”というユニバーサルロボットに対する評判もあった。導入事例が増えてきて、こういったサービス体制を構築してビジネスとして成り立つ台数になってきた。ユニバーサルロボットとしても、これらの投資を行うタイミングになった」(山根氏)
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