TPMモデルで技術と価値を「見える化」――受託加工業の事業領域を言語化する:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(26)(3/4 ページ)
デジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第26回は自社の特徴を効果的に伝えるために欠かせない事業領域の「言語化」をテーマに、有効なアプローチを紹介する。
TPMモデルがもたらすビジネスへの効果
1.社内での強みの再確認と共有
TPMモデルを活用することで、自社の技術、設備、ノウハウが体系的に整理され、部門間で共通の認識が醸成される。これにより、経営層から現場まで、戦略的な取り組みを円滑に推進するための共通言語が構築される。
例えば、営業部門は現場の技術力や実績を具体的な数値や事例として活用でき、マーケティング部門はSEOやコンテンツ戦略の策定時に、効果的なキーワード選定のための材料としてTPMモデルのデータを利用できる。
2.顧客への説得力のある訴求
「誰の、どんな課題に、どう貢献できるか」を明確に言語化することで、自社の技術が顧客の課題解決にどれだけ寄与するかを具体的にイメージできる。このTPMモデル自体をWebサイトや営業資料にて、ユーザーに提示することで、一目でその会社の事業内容を伝えられる。
3.新規市場開拓と用途開発への起点
TPMモデルは、自社の技術やノウハウがどの市場に適用可能かを整理する上で非常に有効である。従来、特定の分野に限定されがちだった受託加工業であっても、別の市場に自社の技術を展開するためのヒントを得ることが可能となり、新規用途開発への扉を開くことができる。
TPMモデルの活用例:Webマーケティングでの活用
テクノポートでは、多くの受託加工企業においてこのモデルを活用し、顧客とともに有効な訴求軸や改善点を検討しながらWebマーケティングに反映させている。
Webマーケティングにおいて最も重要なのは、ターゲットがどのような検索キーワードを使うかを正確に想定することである。想定したキーワードで検索された際に、自社のWebサイトが検索結果の上位に表示されれば、ターゲットに認知される可能性が高まる。さらに、Webサイトの内容を見て「この会社なら対応してくれそうだ」と感じてもらえれば、問い合わせにつながる。つまり、検索キーワードの想定こそが、Webマーケティング成功のガキなのである。
そして、この検索キーワードの想定において、TPMモデルは非常に有効に働く。
流れとしてはまず、作成したTPMモデルに基づき、想定される検索キーワードを洗い出す。これらのキーワードは、「技術系キーワード」「提供機能系キーワード」「市場/製品系キーワード」の3つの大カテゴリーに分類した上でリストアップしていく。
このプロセスにより、事業内容全体を把握した上で、最適な訴求軸を明確に定め、事業の多角的なアプローチが実現できるのである。
追加でいくつか例を紹介する。ほとんど全ての受託加工業はこのモデルを活用することで、全体感を把握できる。
【切削加工業の例】
【樹脂試作加工業の例】
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