連載
TPMモデルで技術と価値を「見える化」――受託加工業の事業領域を言語化する:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(26)(2/4 ページ)
デジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第26回は自社の特徴を効果的に伝えるために欠かせない事業領域の「言語化」をテーマに、有効なアプローチを紹介する。
TPMモデルの基本構造
TPMモデルは、自社の事業内容を「技術」「提供機能」「市場」の3つの視点で整理する。これは、加工技術や保有設備だけでなく、それがどのような提供機能を持ち、どのような市場で活用されているかを可視化するためのものである。
板金加工業の例
T:Technology(技術)
まず、自社の技術的基盤を整理する。ここでは、加工方法、設備、そして現場で培ったノウハウが対象となる。
- 加工方法:精密板金、切断、曲げ、溶接、マシニングなど、具体的な加工プロセスを明示する
- 設備:ファイバーレーザー加工機、ベンダー加工機、溶接機など、具体的な設備を明示する
P:Performance(機能/パフォーマンス)
次に、技術を活用した「機能的価値」を整理する。顧客が期待するのは、技術がもたらす具体的なメリットである。
- 加工サイズ:最大、最小サイズを明示する
- 精度:数値で表せる精度を明示する
- 加工材質:対応可能な材質の範囲を明示する
- 対応ロット:得意とするロットサイズの目安を示す
- QCD:短納期、低コスト、高精度などの要素を明示する
- 対応地域:対応可能な地域の範囲を明示する
- 提供体制:試作対応、図面なし対応、VE(Value Engineering)/VA(Value Analysis)提案など、提供体制の特徴を明示する
M:Market(市場)
最後に、自社がどの市場/業界に特化しているのか、またどのような顧客層に価値を提供できるのかを整理する。
- 対象業界:建築設計、医療機器、自動車、産業機器など、実績のある分野を明示する
- 顧客層:設計開発部門、購買担当者、生産技術部門など、具体的な顧客層を明示する
- 製品/用途:店舗什器(じゅうき)、ブラケット、架台など、具体的な製品例を挙げることで、どのような用途に最適化された技術であるかを伝える。受託加工業においては、この製品での訴求が非常に重要となるが、言語化できていないケースが多い
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