オムロンがコグニザントと提携しミリ秒単位の仮想制御基盤開発、5年500億円目指す:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
オムロンは、米国のITサービス企業コグニザント(Cognizant)と戦略的パートナーシップ契約を締結した。コグニザントの幅広いデジタルテクノロジーによるサービスとオムロンの高品質な現場データの収集力を融合することで、工場のスマート化を実現するエンドツーエンドのソリューションの実装、運用、保守を提供していく。
コグニザントのAPEx
最後のIT層はコグニザントのアプリケーションプラットフォーム「Asset Performance Excellence(APEx)」だ。これは、AIや機械学習、生成AIおよび、堅牢なプラントインフォメーションモデルソリューションによって、オペレーショナルエクセレンスを実現するというもの。共同ソリューションでは、インテリジェントオペレーションやアセットパフォーマンス管理、サステナブルネス、 スマートメタルハンドリング、スマートパッケージング、スマートレジリエンス、コンプライアンスといった7分野で提供。VCPによって得られる現場の機器からのリアルタイムのデータとKPIに結び付くシステムからのデータを合わせて可視化/活用可能で、同社のCEOであるラヴィ・クマールS氏は「コストの問題、稼働効率の問題などが解決でき、自律的な工場を実現できる」と説明している。
なお、今回、辻永氏はコグニザントを提携相手とした理由として、同社の強みを3つ挙げていた。1つ目は研究開発(R&D)や生産、サプライチェーンまで、製造業の幅広い領域で培ってきた実績と知見を生かした経営からのコンサルティング能力だ。2つ目は、グローバルで33万人を超える人材と豊富な経験をもとに、経営から製造業まで幅広く支えるITシステムの構築およびそれを適用する能力である。3つ目は、生成AIをはじめとした最先端技術を経営視点から投資効率を高め、AIソリューションを現場に実装し提案していく能力だ。「われわれが目指す『経営課題から現場の課題を特定し、現場に実装するソリューション』、これを数多く実現していくには、コグニザントとの連携がマストだと判断した」とした。
5年累計売上高500億円を狙う
オムロンは、既にグローバルオートモーティブ企業において、ITとOTの融合によって生産ラインと工程が50%半減できた事例なども紹介。「既にパイロットラインで両社のコラボレーションが実装され始めている」と語っていた。
今回の提携によって、コグニザントの欧米の大手顧客基盤およびオムロンの日本、アジアでの大手の顧客基盤を相互に活用し事業を発展させていく方針で、両者で5年累計売上高500億円を狙う。オムロンは特に「欧米企業への進出を、今回の提携を機に一気に加速していきたい」と意気込んでいる。
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