自工会が米国の関税措置にコメント、経産省は相談窓口開設:製造マネジメントニュース
日本自動車工業会は自動車や自動車部品に対する米国の関税措置についてコメントを発表した。
日本自動車工業会は2025年4月3日、自動車や自動車部品に対する米国の関税措置についてコメントを発表した。
2024年末時点で、自工会会員企業が運営する米国内の拠点は27の州にある。生産拠点は24カ所、研究開発拠点が43カ所、物流拠点が70カ所にある。米国内で11万人以上の直接雇用を生み出しているという。
日系自動車メーカーによる米国での生産台数は日本からの輸出分を大きく上回っており、米国で生産される新車の3分の1が自工会会員企業による生産だとしている。また、日本やカナダ、メキシコからの輸出により、米国のユーザーに多様な選択肢を提供できていると強調した。米国で生産した車両が輸出されていることにも言及した。
日本政府には、追加関税の適用除外に向けた米国との対話や、サプライチェーンに対する支援を訴えた。
経済産業省は相談窓口や資金繰りを支援
経済産業省は2025年4月3日、自動車に対する米国の追加関税措置発効を受けて、「米国関税対策本部」を設置したと発表した。対米交渉や関税措置の影響評価、国内対策の速やかな実行を担うとしている。
短期的な対応として、各地方経済産業局や全国の政府系金融機関、商工団体、中小企業基盤整備機構などに特別相談窓口を設置する。自動車部品メーカーなど追加関税措置の影響が懸念される企業からのさまざまな相談を受け付ける。
また、資金調達や資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫などが実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、追加関税措置の影響を受ける事業者にも支援対象を拡大する。官民金融機関には、中小企業の相談に丁寧に対応するよう要請する。
日本貿易保険(NEXI)は、北米で事業活動を行う日系企業の子会社の資金ニーズに対応し、関税措置の影響に対応する運転資金の調達を支援していく。また、関税措置に起因する損失は輸出保険のカバー対象にする。
自動車部品は5月3日から
JETRO(日本貿易振興機構)によると、エンジンやトランスミッション、パワートレイン部品、電子部品などに対する追加関税は2025年5月3日午前0時1分から適用が始まる。
2025年4月3日に適用開始となった乗用車への25%の追加関税は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の自動車原産地規則を満たす車両の場合、非米国産部品の価格に対してのみ追加関税が課される。非米国産部品に対する追加関税は、追加関税を適用するプロセスが確立されたと商務長官が官報で公示するまで適用対象外となる。
210億ドルの投資を発表しても……
韓国の現代自動車グループは2025年3月24日、2025〜2028年の4年間で米国に210億ドルの投資を行うと発表した。ジョージア州の完成車組み立て拠点での生産能力を30万台から50万台に増やす他、アラバマ州やジョージア州などの既存工場で生産設備の効率化に追加投資を実施する。また、自動車鋼板の現地生産化に向け、年産270万トンの電炉製鉄所を建設する。自動運転技術やロボット、AI(人工知能)などに関する米国企業との連携も強化する。
こうした投資計画を発表したものの、韓国に対しても自動車への25%の関税措置は予定通り発動された。
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