工場で“置き薬”方式で間接材提供、年間1650時間削減するミスミの新サービス:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ミスミグループ本社は、間接材トータルコストダウンサービス「MISUMI floow」の提供を開始した。“置き薬”方式の自動販売機なども活用しながら、従来手つかずだった間接材の一元的な管理と効率化にメスを入れる。
MISUMI floowが実現する4つのレス
MISUMI floowが実現する価値は「在庫レス」「発注レス」「管理レス」「不正レス」の4つのレスだ。VMI(Vendor Managed Inventory)により、ユーザーは在庫負担を持つ必要がなくなるほか、自動販売機から取り出すと自動で発注がかかるため、発注業務の負荷がなくなる。さらに在庫データをミスミが常に監視しているため、間接材の管理負荷も下げることができる。また、間接材の横領などの不正を抑制する効果も得られるという。「工場側だけでなくサプライヤー側の負荷も大きく低減できる」と大内氏は説明する。
MISUMI floowは、既に中国で先行サービス展開されており、約400工場に1500台以上の自動販売機が導入されているという。日本でも約50社に対し1年間の先行試験導入を行い、さまざまな検証を重ねてきた。その中で導入企業の調査をしたところ、間接材に関する作業時間を約7割削減できたという。大内氏は「自動販売機を導入すると、現場での間接材の管理や補充業務は不要となる。さらに、請求書作成などの調達業務や受け入れ業務、在庫業務なども大幅に削減できる。年間約150日分のコスト削減効果を得られる」と強調する。
さらに間接材の購入状況を一元的に見える化できることから「無駄な資材購入も減り、2割以上のコスト削減効果を得られたとの声も出ている。開梱作業と梱包作業が減り、環境問題対策にも貢献する」とミスミ Factory-MRO企業体 企業体社長の馬場隆氏は説明する。
一連のサービスを総合的に提供できるのは、ミスミECサイトで取り扱う3000社、800万SKUの間接材商品のカバー範囲と、標準2日で納期順守率99.7%を誇る確実短納期を実現できる力があるからできることだ。「豊富な品ぞろえと製造業の顧客基盤を生かして、さらに価値創出できないかと考えて生み出したのが今回のサービスだ」と馬場氏は述べる。
大内氏は「中国ではすでに普及が進んでいるが、日本で受け入れられるのかを約1年間かけてテストマーケティングしてきた。しかし、間接材については大きな違いは見られなかった。日本での先行導入企業からの評判も良く、導入を広げ、日本の製造業の競争力強化に貢献したい」と今後について語っている。
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