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誰も教えてくれない設計NGあるある【光電センサー編/後編】設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策(10)(2/2 ページ)

連載「設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策」では、設備設計の現場でよくあるトラブル事例などを紹介し、その解決アプローチを解説する。連載第10回は、前回に引き続き「誰も教えてくれない設計NGあるある【光電センサー編】」をお届けする。

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2.外乱光によってセンサーが誤検知する場合

 2つ目は「外乱光によってセンサーが誤検知する場合」です。例えば、透過型の光電センサーを密集させて配置し、鏡面体ワークの有無を検出する場合を考えます。

 【前編】でお伝えした通り、センサー同士の干渉を避けるために、センサー同士を離して配置したり、受光器が隣同士に並ばないように配置を工夫したりすることは重要ですが、それでも鏡面体ワークとなると、ワークによる反射光の影響でセンサーの誤検知リスクが高くなります。

基本的な干渉対策などを行っても、鏡面体ワークの場合はワークによる反射光の影響でセンサーが誤検知するリスクが高まる
図3 基本的な干渉対策などを行っても、鏡面体ワークの場合はワークによる反射光の影響でセンサーの誤検知リスクが高まる[クリックで拡大]

 特に透過型の光電センサーは検出距離が長いものが多いため、かなり離れた場所からの光でも受光してしまうことがあります。このような場合には、受光器にカバー/シェードなどを取り付けると誤検知リスクを下げることができます。

3.背景が鏡面体であることによってセンサーが誤検知する場合

 3つ目は「背景が鏡面体であることによってセンサーが誤検知する場合」です。これはよく拡散反射型の光電センサーを使用している場合に起こる問題です。拡散反射型の光電センサーとは、投光器と受光器とが一体になっており、光が検出体に当たった際の反射光を受光して物体を検知します。一方で、検出体がない場合は、光を反射させる物体がないので受光器に光は届かないという原理になっています。

 ところが、検出体がない状態で光を投光した先が鏡面体になっている場合、光を強く反射してしまうため、受光器がそれを受け取ってしまいます。これにより、検出体がないにもかかわらず、センサーは「検知した」と判定してしまう現象が起こるのです。

背景が鏡面体の場合、検出体がない状態でも光を強く反射してしまうため、誤検知してしまう可能性がある
図4 背景が鏡面体の場合、検出体がない状態でも光を強く反射してしまうため、誤検知してしまう可能性がある[クリックで拡大]

 どうしても背景の反射の影響を除去できない場合には、布や反射しにくい板などを取り付けるなどの工夫が必要です。

光電センサーの検出位置を位置決め制御の原点にするのはNG

 サーボモーターや直動の電動アクチュエータを使って位置決め制御をする際には、その位置決め制御の原点をどう設定するのかを設計に盛り込んでおかなくてはなりません。

 原点を設定する方法は多種多様で、その中でも光電センサーの検出位置を位置決め制御の原点に設定することも機能上できるのですが、この方式を実際に採用することは基本的にNGです。

 最大の理由は「単なる光電センサーの検出位置では、位置決め制御の基準にならないから」です。光電センサーのカタログを見れば一目瞭然ですが、そもそもセンサー本体には機械加工面も、寸法公差も、ノック穴もありません。そのため、センサーの取り付けの精度がバラツキやすいのです。

 また、同じ型番のセンサーでも個体差があるため、全く同じように取り付けたとしても検出位置がズレてしまいます。そのため「センサーを交換したら、微妙に検出位置がズレてしまった……」という現象が起こるのです。

 そのため、位置決め制御をする際には“基準用のブロックを製作し、その基準ブロックにアクチュエータがぶつかった位置を原点として設定する”ような方式が望ましいでしょう。

 どうしても、光電センサーを使った原点設定をしたいのであれば、光軸調整用のジグを使って、あらかじめセンサーの取り付け位置を調整するなどの工夫が必要になります。 (次回へ続く

⇒連載バックナンバーはこちら

筆者プロフィール:

りびぃ

りびぃ
ものづくりのススメ」サイト運営者

2015年、大手設備メーカーの機械設計職に従事。2020年にベンチャーの設備メーカーで機械設計職に従事するとともに、同年から副業として機械設計のための学習ブログ「ものづくりのススメ」の運営をスタートさせる。2022年から機械設計会社で設計職を担当している。

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