ORiNがLinuxに対応、デンソーウェーブが新たな統合ミドルウェアの提供開始:FAニュース
デンソーウェーブはデータ統合ミドルウェア「ORiN3 Runtime(オラインスリー・ランタイム)」の提供を2025年2月12日に始めた。
デンソーウェーブは2025年2月12日、産業分野におけるIoT(モノのインターネット)活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に貢献するデータ統合ミドルウェア「ORiN3 Runtime(オラインスリー・ランタイム)」を開発し、同日から提供を始めたことを発表した。
分類 | ORiN2 | ORiN3 Runtime |
---|---|---|
プラットフォーム | Windows | Windows、Linuxなど |
アーキテクチャ | x86 | Arm64、x64 |
ベースの技術 | COM | gRPC |
セキュリティ | ー | TSL/SSL |
設計 | モノリシック | マイクロサービス |
ランタイム | Microsoft CRT | .NET 8.0 |
統合ミドルウェアは、デバイスと特定の機能を果たすアプリケーションの中間に位置し、両者をつなぐソフトウェアだ。製造業では、データ通信規格、プログラム言語が異なるさまざまなFA機器で生産工程が構築されることから、これらの機器のデータを統合し、一元的な情報の取得、活用が求められており、2001年に日本ロボット工業会を母体とするORiN協議会が、ORiNと呼ばれるミドルウェア仕様を制定した。
デンソーウェーブではORiN協議会に発足時から参画し、ORiN開発の一端を担ってきた。2006年には、FA機器のデータ通信に対応した「ORiN2 SDK」の提供を開始し、Windows OSのPCから各FA機器への統一的なアクセスを実現した。
Linuxなどの動作環境に対応、Dockerコンテナも
今回開発したORiN3 Runtimeの特徴は、マルチプラットフォーム対応とマイクロサービス対応を行ったことだ。
マルチプラットフォーム対応では、Windows OSに加え、Raspberry Pi OSを含むLinuxなどさまざまな動作環境に対応し、安価なデバイスであるRaspberry Piや大規模システムの構築に活用されるクラウドでの動作が可能となった。
OS | バージョン | アーキテクチャ |
---|---|---|
Ubuntu | 24.04、22.04 | Arm64、x64 |
Red Hat Enterprise Linux | 9、8 | Arm64、x64 |
Raspberry Pi OS | Bookworm(Debian12ベース) | Arm64 |
Windows | 11、10 | x64 |
Windows Server | 2022、2019、2016 | x64 |
拡張性、柔軟性、安定性の高いシステムを構築できるDockerコンテナでの動作も可能となっている。
実行環境 | OS | バージョン | アーキテクチャ |
---|---|---|---|
Docker | Ubuntu | 24.04、22.04 | Arm64、x64 |
Red Hat Enterprise Linux | 9、8 | Arm64、x64 | |
WSL 2(Windows Subsystem for Linux Ver.2) | Ubuntu | 24.04、22.04 | x64 |
マイクロサービス対応では、「ORiN2 SDK」で提供していたサービスを、各種装置にアクセスして情報の取得や設定を行う機能(プロバイダー)と、プロバイダーの構成管理や起動制御を行う機能(リモートエンジン)に分離した。
これにより、デバイスに必要な機能のみをインストールすることができるため、安価な低スペックPCの活用が可能となった。また、負荷状況に応じて必要な機能のみを素早く起動/停止できるようになり、さまざまなシステムに対応しやすくなった。
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