中期目標未達でパナソニックHDが組織再編へ、テレビや産業デバイスから撤退も視野:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
パナソニック ホールディングスは、2024年度第3四半期の連結業績を発表するとともに、グループ経営改革に乗り出す方針について示した。テレビ事業や産業デバイス事業など4つの事業を課題事業と位置付け、撤退や売却も視野に構造改革を進める。
テレビや産業デバイスなどの撤退や売却も視野に
収益改善に取り組む中で低収益事業についての見極めを進める。パナソニックHDは事業についてROIC(投下資本利益率)と事業別WACC(加重平均資本コスト)による管理を進める方針を定めており、「課題事業」については「成長を見通せない」ということと「ROIC<事業別WACC」という2点を条件としている。その条件で課題事業となっているのが「産業デバイス事業」「メカトロニクス事業」「キッチンアプライアンス事業」「テレビ事業」の4事業だ。
楠見氏は「これらの4事業については売却も含め外に出す覚悟はある。ただ、やり方そのものはさまざまな形があり、事業、商品、地域などに応じた撤退も考えながら対策を進めていく。売却という手段を取るかどうかは現時点でコメントできる段階ではない。(テレビ事業については)現状では売却を考えたとしても受けてもらえる企業はないと考えている。今はさまざまな手段を考えている段階だ」と課題事業についての考えを述べる。
また、インダストリー領域に位置付けられている産業デバイスとメカトロニクスについては「インダストリー領域は大きく分けると、プロセスや材料に強みを持つ事業とアセンブリ中心の事業がある。プロセスや材料に強みを持つ事業は利益を確保しやすいが、アセンブリを中心とした領域は模倣されやすく競争が激化しやすい。そこでプロセスや材料に強みを持つ事業に集中し、アセンブリを中心とした事業は整理していく」と楠見氏は方向性について述べている。
「再建事業/事業立地見極め事業」としては、「空質空調事業」「家電事業」「ハウジングソリューションズ事業」の3つを挙げる。これらは主に家電を中心としたくらし事業として位置付けられてきたが、結果を残せていないため、体制的な再編も行う。家電事業は、以前から中国でのコスト競争力を生かしたグローバル展開を進める方向性を示していたが、日中連携とリソースシフトを加速させる。一方で国内間接部門の効率化やスリム化を進めるとともに、国内の量産拠点から中国拠点へのシフトを進める。
さらに、くらし事業としていた枠組みは解消し2026年度をめどに、B2Cの家電を中心とした「スマートライフ」、空質空調とコールドチェーンを中心とした「空質空調・食品流通」「エレクトリックワークス」の3事業への再編を検討する。この再編に合わせて、主に家電関連を担っていた事業会社「パナソニック株式会社」も発展的解消を行う考えだ。楠見氏は「パナソニック株式会社を発展的解消するというのはあくまでも現段階の考えで、残すか残さないかの具体的な議論はできていない。どう解消するのかなどの具体的な検討はこれからだ」と語る。
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