データセンターと半導体に高い成長期待、シュナイダーが見据える新世界:FAインタビュー(3/3 ページ)
脱炭素化や人手不足、地政学リスクへの対応など、多くの課題に直面する製造業において、どのようなニーズが生まれ、ビジネスが動こうとしているのか。シュナイダーエレクトリックに話を聞いた。
データセンター向け事業が成長をけん引
MONOist 近年、注目されるデータセンター向けの事業の状況を教えてください。
青柳氏 シュナイダーはデータセンター向けの電源、冷却システム、UPS(無停電電源装置)などを手掛けていたAPCを2007年に買収して、データセンター向け事業を開始した。近年は日本国内でもハイパースケーラーやコロケーションによるデータセンターの建設が相次いでおり、その数は2030年まで右肩上がりの状態だ。
データセンター内の設備や機器を管理するDCIM(データセンターインフラ管理)やEPMS(電力監視システム)のソフトウェア、大容量の電流を流すバスダクトやスイッチギア、配電機器などの引き合いも増えてきている。半導体製造工場でも、バスダクトなどが導入されている。
今後、AIデータセンターが増えていくと、問題となるのが排熱対策だ。AIデータセンターはサーバ1ラック当たりの消費電力が100kWになるといわれており、従来の空冷式では限界があり、新しいテクノロジーが必要になる。
青柳氏 そこで、シュナイダーは2024年にデータセンター向けの液冷技術を持つ米国のMotivair(モティベア)を買収した。AIデータセンター向けのソリューションが新たに加わることになる。
シュナイダーはNVIDIAと共同で、液冷技術などを活用したAIデータセンターのレファレンスデザインも発表している。
データセンターは米国、欧州、韓国、台湾などでも増えている。シュナイダーのグローバルとしても、エネルギーマネジメントの中でデータセンター向け事業の割合は大きくなっており、さらに伸び代もある。
青柳氏 半導体製造工場でも大量の電力を使用するが、その中でカーボンニュートラルに向けて取り組む企業も増えている。シュナイダーでは、半導体産業のバリューチェーン脱炭素化支援プログラム「Catalyze(カタライズ)」を展開しており、Google(グーグル)やIntel(インテル)、Applied Materials(アプライド マテリアルズ)などが参加しており、先日は日本企業としてキオクシアも参加を表明した。
シュナイダー自身もバリューチェーン全体の脱炭素化を進めており、主要サプライヤーに対する取り組みをプログラム化していた。それらをさまざまな業界に横展開しようとしている。
このカタライズも、シュナイダーが製薬業界のサプライチェーンにおける再生可能エネルギーを推進するために展開してきたプログラム「Energize(エナジャイズ)」を活用したものだ。半導体も製薬もそれぞれの業界でサプライチェーンが重なっているケースが多い。
日本は今後も引き続きデータセンターが活況だ。組織変更も含めて、さらなる成長に向けて取り組んでいきたい。
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