自動運転車の多様な運転シナリオの認識テストを推進:自動運転技術
Ansysは、ソニーセミコンダクタソリューションズと共同でADASや自動運転車におけるさまざまな条件の運転シナリオの認識テストを進める。
Ansysは2024年12月19日、ソニーセミコンダクタソリューションズと共同で、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転車(AV)におけるさまざまな条件の運転シナリオの認識テストを進めると発表した。
AnsysのAVxcelerate Sensorsとソニーのハイダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサーモデルの両方の活用により、ADASとAVにおける低照度、夜間、雨、雪、霧などさまざまな運転シナリオでのセンサーの挙動を高性能化することが可能となる。リアルタイムな認識フィードバックを活用し、仮想環境でのロードテスト要件が大きく加速され、AVの安全性の強化と開発コスト低減に貢献する。
Ansys AVxcelerate Sensorsは、リアルタイムのマルチスペクトル照明シミュレーション機能により、多様な照明シナリオや雨、雪、霧などの気象条件を細かく評価可能だ。同シミュレーションの活用により、数千時間を要する実走行テストを迅速化できる。
ADASおよびAVは、カメラ、レーダー、LiDARセンサーを基本とした認識システムが、走行判断に必要な周りの環境や状況を的確に認識する。このようなシステムにおける高い信頼性の検証がなされなければ、安全性に対する懸念が高まり、信頼性が低下する可能性がある。Ansysとソニーは、信頼性の高いカメラセンサーのシミュレーションを行い、これらの問題に対応することで、性能向上、安全リスク低減、開発期間の短縮に寄与する。
AVxcelerate Sensorsプラットフォームは、多様な照明、天候、材料条件を持つ仮想環境を作り出し、自然環境やカメラレンズを通る光がどのように動いてイメージャに当たるかをシミュレーションする。このシミュレーションは、ソニーのセンサーモデルとの組み合わせで、ソニーのHDRイメージャのピクセル特性、信号処理機能、システム機能を非常に高い予測精度で再現可能だ。同シミュレーションモデルにより、あらかじめ定義された入力もしくはリアルタイムのフィードバックを活用して、ソニーのHDRイメージャベースの認識システムに対してシナリオベースのテストを実施し、ADASおよびAVアプリケーションの精度、信頼性、安全性を改善させることができるとしている。
オンロードテストを可能な限り避けるために、シミュレーションの組み合わせにより高度なSoftware-on-Chip認識システムに画像を組み込める。併せて、エンジンマネジメントやトランスミッションなどの機能をコントロールする電子制御ユニットも同シミュレーション環境に組み込み、その性能をテストする。この手法により、センサーから処理チップまでのシミュレーションプロセス全体の正確性と信頼性が担保されるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニー・ホンダモビリティ「AFEELA 1」をCESで発表、米国オハイオ州で生産
ソニーグループは2025年1月6日(現地時間)、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」に先立ちプレスカンファレンスを行い、「AFEELA」ブランドの最初のモデルとして「AFEELA 1」を発表した。 - 「革新者集まれ!」トヨタがCESで実証都市「Woven City」への参加を呼びかけ
トヨタ自動車は、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」に先立ちプレスカンファレンスを行い、新たなモビリティを生み出すテストコースとして街づくりを進めている「Woven City」の進捗状況について紹介した。 - 電極の厚さだけでリチウムイオン電池の「容量」と「入出力特性」は決まらない
注目を集めるリチウムイオン電池をはじめ「電池のあれこれ」について解説する本連載。今回は、リチウムイオン電池の4つの特性(高エネルギー密度、低抵抗、機械的強度、化学的安定性)のうち「高エネルギー密度」と「低抵抗」について、電極の構造に注目しながら詳しく解説します。 - 足回りで強みを発揮し上物は共創で、新たなモビリティの形を訴求するスズキ
スズキは、最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」で、長年培った走行技術を核としつつ、新たなビジネス創出を目指した仲間づくりを推進。Applied Electric Vehiclesなどとの協業例を示しつつ、新たなモビリティに向けた共創を訴えた。 - ホンダのSDVは2026年から本格展開、ビークルOSと専用ECUを搭載
ホンダは電気自動車の「0シリーズ」のプロトタイプ2車種と、搭載予定のビークルOS「ASIMO OS」を発表した。 - 川越市の全道路の1.6%に走行中無線給電システムがあればEVの無限走行が可能に
東京大学生産技術研究所がEVの「無限走行」を可能にする走行中ワイヤレス給電システム(DWPT)の最適配置に関する数理最適化とシミュレーションの結果を発表。埼玉県川越市を題材とした場合、全道路の約1.6%にDWPTを敷設することで市内の全車両(EV)が無限に走行し続けられるという結果が得られたという。