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パナソニックグループがサステナビリティを重視する理由、250年計画のカギにCES2025 パナソニックキーノート(後編)(2/3 ページ)

パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏が、「CES 2025」のオープニングキーノートに登壇した。本稿では、このオープニングキーノートとパナソニックブースの展示内容を前後編に分けて紹介。後編では環境についての取り組みを紹介する。

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EVバッテリーの資源循環に本腰、Redwood Materialsと協業で

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CES2025のパナソニックグループブースに展示された4680電池[クリックで拡大]

 さらに、気候変動対策として電気自動車(EV)の普及が進んでいるが、パナソニックグループはEVバッテリー市場で大きなシェアを握っている。楠見氏は「パナソニックグループはグローバルでバッテリーを150億個供給し、北米では最大のEVバッテリーメーカーだ」と強調し、北米でのEVバッテリーの生産状況や、SUBARUやマツダとの提携、4680電池の生産状況などを紹介した。

 ただ、EV用バッテリーの廃棄が今後増えることが明らかな中、サーキュラーエコノミー(循環経済)モデルの構築も重要となる。そこで、北米ではEVバッテリー領域のリサイクルにおいて、Redwood Materialsと協業し、そのままリサイクルを行ったり、古い電池や重要な材料を取り出してパナソニックグループで新たな電池部品に再生したりする取り組みなどを行う。

 Redwood Materials CEOのJB Straubel(ジェイビー・ストラウベル)氏はTeslaの共同創業者で長年CTOを務めていた。ストラウベル氏は「私とパナソニックグループの旅は(Tesla側の立場で)ギガファクトリーを共同で建設したときから始まった。その際にも電池生産に対し発生した廃材をリサイクルし資源循環を行うことを考えていた。今はパナソニックグループからの廃材料や古い電池が毎日Redwood Materialsに届き、そこからコバルト、リチウム、ニッケル、銅などの重要鉱物の98%を回収し、パナソニックグループに電子部品材料として戻している」と取り組みについて語っている。

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EVバッテリーのリサイクルについて説明するジェイビー・ストラウベル氏[クリックで拡大]

北米向けで新たな全館空調システムを展開

 さらに、エネルギー使用の大幅な削減につながる新しいソリューションとして、全館空調システムの「OASYS」を北米向けに発表した。これは、ルームエアコン、熱交換気ユニット、DCモーター換気扇を用いた搬送ファンで構成された全館空調システムだ。

 米国ではセントラル空調が一般的となっているが、1台の大きな搬送ファンで各部屋に冷温風を送風する仕組みで温度ムラや騒音、結露やメンテナンスコストなどの課題があった。OASYSは個々には既に展開している製品群を組み合わせる一方で、部屋ごとに搬送ファンの送風を細かく管理することで、温度ムラや騒音などを抑えるとともに、エネルギー効率が高まることから、省エネやメンテナンスコスト削減につなげることができるという。楠見氏は「この統合ソリューションは、エネルギー効率と経済性に優れているだけでなく、より健康的で快適な生活を提供するという点でも重要だと考えている」と述べている。

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CES2025のパナソニックブースにおけるOASYSの展示[クリックで拡大]

WBCSDと削減貢献量の世界標準化を推進

 OASYSのようにパナソニックグループでは、自らの製品で生み出すGHG削減への取り組みにも積極的に取り組んでいる。環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」における目標では、「GHGプロトコル」のスコープ1、2、3など自社のバリューチェーンに関わる排出量を実質ゼロ化する「OWN IMPACT」で約1.1億トン、既存事業において製品などを通じて社会でのCO2排出量削減に貢献する「CONTRIBUTION IMPACT」で約1億トン、将来の新技術や新事業によってCO2排出量削減を目指す「FUTURE IMPACT」で約1億トンのCO2排出量を削減する計画を示している。

 この「OWN IMPACT」以外の領域は「削減貢献量(Avoided Emissions)」で評価し、削減していく必要がある。「この指標は、持続可能な製品や技術を使用することで防ぐことができたGHG排出量を指す」と楠見氏は説明する。ただ、この削減貢献量はまだ広く一般に認知されているわけではない。そこでパナソニックグループでは、WBCSD(世界経済人会議)と協力して標準化に取り組んでいる。

 登壇したWBCSD 会長兼CEOのPeter Bakker(ピーター・バッカー)氏は「WBCSDは20年以上前に世界資源研究所と協力して、排出量の測定と管理のための世界標準であるGHGプロトコルを開発した。加えて、パナソニックが推進する削減貢献量も低炭素ソリューションや差製品を拡大するための強力な指標となり得る。WBCSDとパナソニックグループは協力して削減貢献量の標準化を進める」と述べている。

 楠見氏は「持続可能性へのコミットメントは終わることはない。なぜなら、われわれは一様に未来への責任を持っているからだ」と強調している。

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削減貢献量の推進を訴えたWBCSD 会長兼CEOのピーター・バッカー氏[クリックで拡大]

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