ジェイテクトはデジタル活用でリードタイム半減へ、“番人”たちは提案力強化:FAインタビュー(2/2 ページ)
ジェイテクトは同社本社およびオンラインで代表取締役社長 CEOの近藤禎人氏の合同取材を実施した。
デジタル活用で設備のリードタイム3〜4週間短縮
コアコンピタンスプラットフォームの下には、モーター制御などの領域ごとに、グループ横断で同じ領域で強み、コアコンピタンスを持つ人材を“番人”として結集し、顧客の課題に対してコンシェルジュとともにソリューションを生み出していく。
例えば3Dプリンタはジェイテクト本社や製造現場、グループ会社でも取り組んでいて、それぞれに担当者がいる。それらの担当者がリアルまたはオンラインで顔を合わせるなどしながら、技術やノウハウを集めて、解決策を提示する。
「コアコンピタンスプラットフォームは単なるナレッジデータベースではなく、会社の中をつなぐ血液のようなものといえる。つまり、同じモーター制御に携わっていても、今までグループ会社などをまたいで知り合えなかった人たちが集まり、仲間意識が芽生え、コンシェルジュを通じて自分たちの技能、ノウハウが役に立つ。そして顧客からは感謝される。ジェイテクトの一人一人がいろんな強みを持っている。それを分類して、番人にしていく。そういう一人一人が自分の持ってる価値を最大限に顧客につなげる仕組みがコアコンピタンスプラットフォームになる」
2024年12月には欧州のニードルローラーベアリング事業をドイツの投資会社に譲渡する基本合意をしたと発表。苦戦する欧州市場での事業の立て直しを急いでいる。「欧州はわれわれのビジネスの身の丈に合ったサイズにしていく。北米では事業自体は堅調であり、ロスコストをしっかりと抑えていけば、収益は改善できるのではないか」。
一方で、インドにおいてはジェイテクトインディアとして8つ目となる工場の建設を2024年10月に発表している。
「インドは大変堅調で、グリーンフィールドの状態からビジネスを展開させてもらっている。ソフトウェア人材も豊富で、インドではデジタル化をしっかりとやっていきたい。フロントランナーになるような工場の立ち上げを企画している」
就任当初からデジタル化の必要性を訴えており、実際にデジタル活用で設備構築のリードタイム短縮につながったという。
「社長就任後の半年でデジタル化を着実に進めている。設備の開発から製作まで、モノづくりをデジタルで一気通貫につなぐことによって、半年でリードタイムが3、4週間短くなっている。年内には従来のリードタイムに対して半分になるところまで縮めたい。さらに、デジタル上で作ったものを基に今まで下流側にいたオペレーターや保全のメンバーらが皆で上流側で議論することによって完成度も上がっている。デジタル化の効果が大きいところも小さいところも全てつなぐことが大事で、それによって全ての情報が使えるようになるので皆が楽になる」
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