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CO2を吸収させた路盤材を効率的に合成できるマイクロ波加熱炉を開発:研究開発の最前線
中部大学は、CO2を吸収させた路盤材を効率的に合成できるマイクロ波加熱炉を開発した。製造する路盤材は、最大10%の炭素を貯蔵できることから、カーボンニュートラルに向けたCO2固定技術として注目される。
中部大学は2024年11月26日、CO2を吸収させた路盤材を効率的に合成できるマイクロ波加熱炉を開発したと発表した。中国電力、中国高圧コンクリート工業との共同研究による成果だ。
石炭火力発電所から排出される灰、すすなどの飛灰やコンクリート廃材に、CO2ガスを吸収させて焼結すると、クリンカと呼ばれる石炭灰が生成される。クリンカは道路舗装の路盤材として使用できるが、飛灰は熱伝導率が低く、加熱に長時間を要するため、大量のエネルギーを消費することが実用化の妨げとなっていた。
研究グループは、マイクロ波を利用した加熱炉を開発し、加熱時間の大幅な短縮に成功。1時間に加熱できる飛灰の量は40〜80kgで、短時間かつ大量に路盤材を製造可能な技術を確立した。
また、同技術で製造する路盤材は最大10%の炭素を貯蔵できることから、カーボンニュートラルに向けたCO2固定技術として注目される。
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