協働ロボ×自律搬送ロボ=ロボこたつで製造現場の新たな自動化の選択肢を:協働ロボット
山善 トータル・ファクトリーソリューション支社がロボット用最新モビリティシステム「ROBO-COTATZ(ロボこたつ)」の概要を説明した。
山善 トータル・ファクトリーソリューション支社(以下、山善 TFS支社)は2024年11月28日、広島県内およびオンラインで記者会見を開き、同日から本格販売を開始したロボット用最新モビリティシステム「ROBO-COTATZ(Corporated Technical Aid of TOHO and YAMAZEN、ロボこたつ)」の概要を説明した。
少子高齢化の影響で製造業をはじめ各業界で人手不足が深刻化している。そこで生産にかかわるさまざまな作業の自動化が求められているが、市場ニーズの多様化で製造現場では多品種少量生産が広がっており、従来のような固定設備による自動化は逆に生産性を落としかねない。
ロボこたつは協働ロボットとAMR(自律型搬送ロボット)を組み合わせたソリューションだ。山善 TFS支社技術サポート部と山善のグループ会社でシステムインテグレーター(SIer)の東邦工業が共同で開発した。
協働ロボットに作業させる時は、AMRがロボこたつの下に潜り込み、持ち上げて所定の位置まで運ぶ。協働ロボットが作業を終えると、ロボこたつが信号を出してAMRを呼び出し、元の位置に戻ったり、別の場所に行き作業したりする。
協働ロボットが作業している間もしくは何も作業がない間は、AMRが他のロボこたつを運んだり、AMRとして通常の搬送業務を担ったりすることも可能だ。協働ロボットは産業用ロボットは違い、適切なリスクアセスメントを行うことで、安全柵などの固定設備を設けずに稼働することができるため、工場レイアウトの変更にも柔軟に対応する。ロボこたつはこの特徴を生かしている。
協働ロボット、AMRがそれぞれが異なる場所で作業することができ、複数の工程で協働ロボットを共有することでロボットとAMRの一体型よりも台数を最適化でき、万が一の故障の際に両方とも使えなくなるリスクもなくなるという。
ロボこたつには、ロボットコントローラーやバッテリー、通信機器などを搭載しており、作業エリアの電源確保は不要だ。作業者が近づくと協働ロボットの動作速度を遅くしたり、停止したりさせるエリアセンサーやレーザーカーテンなども装着できる。
標準として、ロボこたつ本体の他、協働ロボットは台湾のTechman Robot、AMRは中国のYOUIBOTの製品を使用し、導入価格は1680万円〜を想定している。2024年度の販売目標は10セットだ。2023年で開催された国際ロボット展2023でコンセプトモデルを発表しており、既に3、4社から引き合いが来ているという。
「各機器の部品選定や組み合わせ、使い方のノウハウがシステム開発の中核となっている。標準装備はあるが、要素技術を核として本体サイズやロボットなどの搭載機器は、製造現場の要望に合わせてカスタマイズもできる。無線通信に関してはユーザーの環境に合わせる形になる。それぞれの機種選定、組み合わせも柔軟に行え、不具合時のリスク分散もできる。特に従来の一体型の比較では台数の削減、つまり大幅なコスト削減につながる。新たな製造現場の自動化の選択肢になり得る」(山善 TFS支社 技術サポート部長の植島代志和氏)
工作機械へのワークや治具の投入、取り出しなどの作業などの用途に使うことができ、ロボこたつは無線通信を介した工作機械側との連携も可能だ。Techman Robotの協働ロボットはカメラを標準搭載しており、AMRによる停止位置のずれも工作機械側に付けられたランドマークを読み取ることで位置補正を行い、軌道を修正して作業を行う。
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