「JIMTOF2024」で金属3Dプリンタの最新動向を調査:テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線(7)(2/4 ページ)
連載「テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線」では、筆者が日々ウォッチしているニュースや見聞きした話題、企業リリース、実体験などを基に、コラム形式でデジタルモノづくりの魅力や可能性を発信していきます。連載第7回は「『JIMTOF2024』で見た金属3Dプリンタ最新動向」をお届けします。
(2)Intelligent Layering/3DEO
3DEOは米国に拠点があり、金属積層造形における独自技術「Intelligent Layering」を有しています。Intelligent Layeringは、敷き詰めた金属粉末にレーザー照射ではなく、バインダーを噴射し、粉末同士を結合させて積層します。また、積層しつつ複数のエンドミル(8本)で切削加工も行うことで、高い寸法精度と滑らかな表面を迅速に実現します。造形後は脱脂、焼結などを行うことで、緻密で高強度な金属部品に仕上げることが可能です。
(3)LAMDAシリーズ/ニデック
ニデックグループのニデックマシンツールは、パウダーDED方式の金属3Dプリンタ「LAMDAシリーズ」を開発、提供しています。ノズルから供給される金属粉末にレーザーを照射し、溶融させて積層していきます。既存部品に肉盛りして形状を追加したり、補修したりすることも可能です。
LAMDAシリーズの独自技術「ローカルシールドノズル」「モニタリングフィードバック機能」によって、高品質かつ安定した加工が行えます。ローカルシールドは、造形中に溶融池周辺を不活性ガス雰囲気にする機能で、アルゴンチャンバーなしで大気環境での造形が可能です。モニタリングフィードバック機能は、レーザーと同軸に配置したカメラのモニタリング結果から、造形条件をリアルタイムに制御して、金属の溶融凝固を安定化させます。
例えば、削り代を最小限にしたニアネットシェイプ(最終形状に近い寸法)を造形し、切削加工と組み合わせて製品形状に仕上げていくことで、素材コストを抑えつつ、切削加工時間を短縮するといった活用が可能です。
また、ニデックマシンツールは2024年10月21日に、LAMDAシリーズに搭載可能な5軸制御加工用ヘッドの開発に関する発表も行っています。大型ワーク(被加工物)でテーブルの移動や回転が難しい積層造形に対し、ワークが載るテーブルを回転させることなく、任意の角度で積層造形が可能です。これにより、複雑な形状の部品や自由曲面の加工も容易になりました。
LAMDAシリーズには、造形サイズが200×200×200mmの「LAMDA200」と、造形サイズが500×500×500mmの「LAMDA500」、造形サイズが2000×1500×1600mm/2500×900×1000mmの「LAMDA2000」があります。積層可能な材料としては、SUS304、SUS316、マルエージング鋼、64チタン、インコネル718などがあります。詳細なスペックなどについては、公式Webサイトを確認ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.