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GAIA-Xが目指す自律分散型データ共有、“灯台”プロジェクトは協調から競争領域へ加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(4)(2/5 ページ)

欧州を中心にデータ共有圏の動向や日本へのインパクトについて解説する本連載。第4回は、第3回で取り上げたIDSAと並んで業界共通での仕組み作りを担うGAIA-Xを紹介する。

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GAIA-Xの代表的ユースケース:ライトハウスプロジェクトから見る傾向

 連載第3回で紹介したIDSAと同様に、本稿ではどのようなユースケース(実用途)が生まれているのかを中心に解説したい。GAIA-Xは、代表的なプロジェクトとしてライトハウスプロジェクトを認定している。Lighthouseとは日本語では灯台を意味し、データスペースにおいてロールモデルとなるプロジェクトの位置付けだ。プロジェクトの詳細は以降で触れるが、全体として下記の4つの傾向が見て取れる。

協調領域のCO2可視化などから競争領域へと力点が進化

 データスペースのユースケースとしては、製造業を例にとるとDigital Product Passport(DPP)対応をはじめとするCO2可視化や、リサイクルなどサーキュラーエコノミーへの対応に初期は力点が置かれていた。DPP対応などは規制として喫緊の課題となっており、CO2/環境データなどは協調領域としてデータ連携のハードルが比較的低かったためだ。この傾向がCatena-Xをはじめ各データ共有の取り組みにおいてCO2可視化のアプリケーション開発などが一巡しめどがついてきている状況もあり、データ連携を通じたオペレーションの変化や、サービス開発などへと力点がシフトしてきている。

図5
図5 製造分野のデータスペースのユースケース例と、力点の変化[クリックで拡大] 出所:筆者作成

データ連携を通じた共同でのデジタルツイン構築が鍵

 ユースケースの力点が変化する中で、データ連携を通じたデジタルツイン構築が鍵となってきている。以下に紹介するプロジェクトのうち、EuProGigantではShared Digital Shadow(SDS)と呼ばれ、その他にもオペレーショナルデジタルツイン、ファンクショナルデジタルツイン、都市協調型デジタルツインなどユースケースに応じた名称もあるが、企業間や都市/組織間での連携を促進するためのデジタルツインをデータ連携によって実現をするユースケースの取り組みが活発化している。

 今まではインダストリー4.0のキーコンセプトのサイバーフィジカルシステム(広い意味でのデジタルツイン)は、自社内でいかに活用するかに力点があった。しかし、デジタルツインをサプライチェーンや連携企業間で共同構築してシミュレーションを実施したり、ロボットやオペレーションと連携させたりすることが鍵となってきている。

製造分野ではMaaSがキーコンセプト

 加えて、製造分野においてはMaaS(Manufacturing as a services)と呼ばれるコンセプトの重要性が増している。一般的にMaaSはMobility as a servicesを指し、移動のサービス化を意味するが、製造分野のデータスペースの議論においてはサービスとしての製造であるManufacturing as a servicesを表す。上記の共同デジタルツインの構築などを通じて、オンデマンド型のサービスや、要件に満たす製造業者/部品のマッチングなどの製造マッチングプラットフォームなど、データ連携を通じて製造業の新たなビジネスモデル構築を図るプロジェクトが進んできている。

共有データも企業競争領域や医療個人情報などに踏み込む

 上記の取り組みの力点の変化に伴い、共有するデータの対象も変化してきている。今まではCO2排出データをはじめ協調領域データの共有に力点が置かれていたが、MES(製造実行システム)に含まれる製造データの共有など競争領域のデータ連携や、医療のデータ連携において個人情報活用まで含めるなど、より踏み込んだ取り組みが進みつつある。

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