Osaka Metro新型車両400系の魅力と大阪発展のカギを握る中央線への期待:鉄道大研究(1)(2/5 ページ)
大阪市交通局の民営化後、「Osaka Metro」の愛称を持つ大阪市高速電気軌道が初めて手掛けた新型車両の400系が2024年鉄道友の会ローレル賞に輝いた。宇宙船をイメージした斬新な前面デザインをはじめ、新機軸を満載した車両である。その魅力やこれからの中央線を探ってみた。
400系は30000系の発展形
400系は斬新な前面デザインに注目を集めがちだが、30000系を踏襲した部分も多い。
座席付近の吊り手は、高さ位置が標準的なものと少し低いものを並べている。30000系は円形だが、400系は関東標準の三角形で握りやすく、安心感がある。三角形の吊り手は大阪市交通局時代から一部の車両に採り入れており、今後のOsaka Metro新型車両の標準になることが考えられる。
非常用ドアコックは乗降用ドアから向かって右上に配置。現在の鉄道車両では標準位置と化している。ただ、乗降用ドアの高さが185cmのため、小柄な方(特に乗務員)にとっては操作しづらい難点がある。当時の大阪市交通局は小柄な方でも容易に操作できるよう、座席下に片足分の蹴込みを設け、一段高い位置から操作できるように配慮していた。関東で座席下に蹴込みのある車両を見たことがなく、グッドデザイン賞を受賞してもよさそうなほどの秀作だ。
30000系は蹴込みの色を黒にしていたので、目立ちにくい、気付きにくい点があった。インテリアデザインの観点から黒に落ち着いたのだろう。400系は白にすることで目立ちやすく、気付きやすいようにした。なお、後述の4号車は固定式クロスシート部分、先頭車の一部は銀色である。
ロングシート車については、御堂筋線用の30000系、中央線で暫定運用中の30000A系と同様、一部を除き、乗降用ドアから向かって左側のスペースを500mmに広げており、大型の荷物が置きやすいようにしている。
各車両にフリースペース(車椅子&ベビーカー用)が設置されている。Osaka Metroでは大阪市交通局時代の1992年の新製車両から各車両に配置しており、交通弱者への思いやりや対応が行き届いている。関東で各車両設置に踏み切ったのは2015年からであり、あまりにも遅過ぎる。
車端部の妻面の左右(先頭車は片側のみ)に妻窓を設けている。現在の関東地方の通勤形電車はそこを配電盤に充てており、妻窓がない。
Osaka Metroによると、引き続き妻窓を設置したのは、終点の駅で運転士が乗客の有無を確認しやすいようにするためである。御堂筋線の新大阪−天王寺間などの区間運転列車、中央線のコスモスクエアや長堀鶴見緑地線の大正といった終着駅は、乗車ホームと降車ホームに分かれているので、運転士は乗務員室を出て客室に入り、乗客の有無を確認する。
30000A系では、空気浄化装置にパナソニックのナノイーXを採用し、乗降用ドアのドアレールに簡易的な切り欠きを入れて車椅子やベビーカーの利用客が乗降しやすいようにしていた。これらは400系にも踏襲されている。
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