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動く対象物を1ms以下で検出するロボット向けセンシング技術を開発:人工知能ニュース
パナソニック コネクトは、動く対象物を1ms以下の高精度で検出し、ロボット作業を中断することなくセンシングする技術を開発した。
パナソニック コネクトは2024年10月30日、動く対象物を1ms以下で検出し、ロボット作業を中断することなくセンシングする技術を開発したと発表した。同技術に関する論文は、画像処理分野の国際学会「ICIP 2024」に採択されている。
従来の対象物検出は、照明の影響による光沢などがノイズとなり、対象物を安定して検出するのが困難だった。この対策には照明環境の調整やAI(人工知能)などの高度な画像処理が必要となる一方で、コストや処理時間がかかるという課題がある。
パナソニック コネクトが開発した技術では、光沢の影響がある環境でも超低遅延で光沢検出し、リアルタイムでロボットの次の動作に反映できる。FPGAを用いて、カメラから得られるピクセル単位の画像データの転送速度に同期し、光沢を検出するアルゴリズムを活用する。高速カメラで毎秒1000フレームの画像を取得し、全ての処理が1ms以下で達成できることを確認した。
同技術は、転送データの一部を利用してメモリを介さずに光沢検出するため、処理遅延は短いが検出性能は落ちてしまう。そこで高速カメラを使用することで、フレーム間の情報変化が小さく、前フレームの情報を活用した効率的な検出が可能となった。動く対象物であっても精度高く捉え、リアルタイムでロボット制御に反映できる。
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