パナソニックがAI現場学習アプリケーション搭載のハイエンドAIネットワークカメラ:製造現場向けAI技術
パナソニック コネクトは、i-PROのAI現場学習アプリケーションを搭載した、新たな「X」シリーズのAIネットワークカメラ9機種を発表した。現行モデルの4倍となるAI性能、3倍となるCPU性能を備える。
パナソニック コネクトは2024年2月7日、i-PROのAI(人工知能)現場学習アプリケーションを搭載した、新たな「X」シリーズのAIネットワークカメラ9機種を発表した。同月より、順次販売を開始する。
新しいXシリーズは、現行モデルの4倍となるAI性能、3倍となるCPU性能を備える。i-PROのAI現場学習アプリケーションを搭載しており、AI動体検知アプリケーション「WV-XAE200WUX」の標準検知対象となる人物や車、二輪車に加え、現場で必要な検知対象を追加学習できる。
例えば、フォークリフトなどの特殊車両や、スケートボードなどの遊具、クマやイノシシなどの野生動物が区域内に侵入した場合、アラームを発報する。また、店舗ユニフォームの着用者を客と区別して、客のみをカウントできる。
ユーザーの現場で追加学習することで、標準検知対象の検知精度を改善することも可能だ。座った状態や肩車をした人、角度によって判別しづらい車両、人が乗っていない二輪車などを学習し、誤検知(誤報)や検知漏れ(失報)を低減できる。
最大9つのAIアプリを搭載し、そのうち最大5つを同時に使用できる。高負荷の画像解析をカメラ単体で処理するため、アプリ領域はRAM450Mバイト、ROM6Gバイトに拡張した。
また、50m照射のIR-LEDと光学3.1倍ズーム(8MPモデルは2.0倍)を搭載。AIプロセッサが画質を自動で最適化し、夜間でも対象物を明確に撮像できる。第三者機関発行の電子証明書をプリインストールするほか、FIPS 140-2 Level3認定のハードウェア、乗っ取りを防ぐセキュアブートにより、高いセキュリティ性能を備える。
屋外用ボックスカメラ、屋内用ドームカメラ、屋外用ドームカメラの3タイプを用意し、それぞれ解像度2MP、5MP、8MPの3モデル計9機種を提供する。2MPと8MPモデルは同月より、5MPモデルは同年4月より販売を開始。なお、WV-XAE200WUXはプリインストールされているが、ライセンス購入が必要となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- なぜ製造現場のAI活用がうまくいかないのか
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第7回では、製造現場でのAI活用の課題と生かし方について解説します。 - AIと機械学習とディープラーニングは何が違うのか
技術開発の進展により加速度的に進化しているAI(人工知能)。このAIという言葉とともに語られているのが、機械学習やディープラーニングだ。AIと機械学習、そしてディープラーニングの違いとは何なのか。 - 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。 - 生成AIは本当に製造業の役に立つのか 導入後の「定着化」が問われる2024年
2023年は大手製造業を中心に生成AIの大規模導入が進んだ年だった。確かに、生成AIは製造業にも革命的な変化をもたらすテクノロジーだと感じられるが、導入そのものはゴールではない。2024年は定着化に向けた施策が進むと思われるが、その辺りを少し考えてみたい。 - サーボシステムにAI搭載、パナソニックが匠の調整を自動化
パナソニック インダストリーは2024年1月に、AIを搭載したサーボアンプとモーターによるサーボシステムの新製品「MINAS A7ファミリー」を発売する。 - 秘密主義から脱却して共創へ、パナソニックHDが社外向けの技術展示会を初開催
パナソニック ホールディングスは、技術展示会「Panasonic Corporate R&D Technology Forum 2023」を紹介する発表会を開催した。