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相鉄バスの新型自動運転バスに見る可能性、レベル4技術は鉄道に応用できるのか自動運転技術(3/4 ページ)

2019年から自動運転バスの実用化に取り組んできた相鉄バスだが、2024年に入ってから新たなスタートを切った。新型自動運転バスの実証実験の内容について紹介するとともに、これらの技術を鉄道に応用する可能性を検討してみたい。

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新たな路車協調システム

 今回の実証実験のポイントは、路車協調システムを活用した大規模交差点での自動走行の実現、先端通信技術を活用した監視映像の安定および高品質化の実現である。

 路車協調システムはNTTグループが推進するもので、交差点などの危険区域を対象にスマート道路灯を設置。頭上のAI(人工知能)カメラを活用し、直線距離50m以内に死角となる車両や歩行者を検知すると、遠隔管制へ通知する。柱にLEDの電光掲示板が設置されており、自動運転車両の接近を文字情報で通知する。

スマート道路灯
スマート道路灯[クリックで拡大]

 これにより、多くの自動運転バスを走らせるための効率的な運行、通信ネットワークの充実などを図る。実用化すれば、全国モデルになることが考えられる。

先端通信技術を活用した監視映像の安定および高品質化

 レベル4による自動運転バスを実現させるには、車両情報や映像によるリアルタイムでの遠隔監視が必要になるため、通信技術環境の充実が求められる。

 今回の実証実験では、高速大容量、低遅延で映像を送れる5Gを用いた(4Gに比べ通信が届きやすい)。ローカル5Gの基地局を2カ所、ならびに5Gワイドとの切り替え地点を設けた。

ローカル5Gの基地局
ローカル5Gの基地局[クリックで拡大]

 映像は運行監視室に伝送され、画面の左側は車内外を映す車両情報、中央は運行を監視するため別のアングルで撮影した車両映像と通信品質情報、右側はスマート道路灯からの路車協調情報を流す。1人で3つの画面を瞬時に監視するが、将来的には自動運転バス1台につき、1画面にしたい意向である。

よこはま動物園内に設置された運行監視室の様子
よこはま動物園内に設置された運行監視室の様子[クリックで拡大]

 レベル4による自動運転を実現するには、非常事態の対応力が大きなカギとなる。現時点、安全面を重視し、保安者として乗務員を添乗させる。無人運転の場合は遠隔による対話など、さまざまな可能性を模索しているという。

自動運転バスに試乗

 実際に試乗すると、以前の自動運転バスより時速5kmアップの時速25kmで走行(現時点、ポンチョによる自動運転での実証実験では時速30kmが上限)。しかも、定速で走行しており、乗り心地もよい。小型車も相まって、右左折も滑らかである。

自動運転中、運転士は非常時に備え、すぐにハンドルを握れるようにしている
自動運転中、運転士は非常時に備え、すぐにハンドルを握れるようにしている[クリックで拡大]

 今後、公道で実証実験をする場合、最高で時速60kmまでの走行が必要になるので、スピードアップが課題となる。

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