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文字の視認性をデジタルで定量評価、使いやすさを追求するカシオの関数電卓デザインの力(4/5 ページ)

カシオ計算機は関数電卓の新機種開発において、製品文字の視認性数値化のアプローチを取り入れ、文字の見やすさ/製品の使いやすさの向上を図っている。取り組み内容について担当者に話を聞いた。

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事例:ナイジェリア向け専用機種の開発

 2024年1月にスタートしたナイジェリア向け専用機種の開発では、現地からの要望を踏まえて、デザイナーが4つの案(A〜D)を用意。案ごとに筐体色と筐体に印刷されたサブ機能の文字色の組み合わせを視認性スコアでスコアリングし、閾値をクリアしたOKパターンと、閾値をクリアできなかったNGパターンを抽出した。また同時に、NGパターンの中でも改善が可能なもの/改善が難しいものをデザイナーの意見を基に分類し、デザイン案の絞り込みを実施した。デザイン検討の段階でこのプロセスを経たことで、現地確認を行う前に、あらかじめ採用不可のデザイン(D案)を除外することができたという。

ナイジェリア向け専用機種のデザイン案A〜D
図5 ナイジェリア向け専用機種のデザイン案A〜D[クリックで拡大] 出所:カシオ計算機
ナイジェリア向け専用機種のデザイン案A〜Dを視認性スコアで評価した結果
図6 ナイジェリア向け専用機種のデザイン案A〜Dを視認性スコアで評価した結果[クリックで拡大] 出所:カシオ計算機
量産用の色指示プレート
量産用の色指示プレート[クリックで拡大] 出所:カシオ計算機

 そして、デザイン決定の段階では、現地関係者などを含めて検討し、最終的なデザイン候補となったC案をベースに、NGパターンと判定された文字色の改善を図り、かつOKパターンだったものの中で閾値ギリギリでクリアした文字色も併せてブラッシュアップし、全ての視認性スコアが閾値をクリアした状態に仕上げ、部品確認での最終評価を経て、見事に製品化を果たした。

 「測定した視認性スコアが閾値をクリアできているか/できていないかで、見やすさの良しあしを定量的に判断できるようになり、早期にデザイン案を絞り込むことが可能となった。また、採用を決めたデザインのさらなる視認性の改善にもスコアリングが役立っている。デザイン性だけを考えると、デザイナーが考案した元の配色がベストといえるが、教育品目である関数電卓の場合は、視認性スコアを基に判断し、見やすさを追求することが何よりも重要だ」(土屋氏)

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