文字の視認性をデジタルで定量評価、使いやすさを追求するカシオの関数電卓:デザインの力(3/5 ページ)
カシオ計算機は関数電卓の新機種開発において、製品文字の視認性数値化のアプローチを取り入れ、文字の見やすさ/製品の使いやすさの向上を図っている。取り組み内容について担当者に話を聞いた。
これまでの歩みと製品開発フローへの適用
カシオは、この関数電卓における製品文字の視認性数値化の検討を2023年2月から開始し、約2カ月後の同年4月から仮運用をスタートさせている。このとき、フランス向けカラーグラフ関数電卓「GRAPH MATH+」の開発に視認性スコアのアプローチを初めて採用。その後、同年11月に運用方針を確定させ、翌年(2024年)1月に本格運用を開始し、ナイジェリア向けの専用機種への適用を果たした。
視認性スコアによる評価は、新機種製品開発フローにおける(1)デザイン検討、(2)デザイン決定、(3)部品確認のそれぞれのタイミングで実施される。
まず、企画/デザイン初期に当たる(1)デザイン検討のタイミングで、デザイナーから上がってきた複数のデザイン案に対して視認性スコアを確認することで、リスクの高い(視認性が悪い)色の組み合わせをあらかじめ除外する。
次に、最終デザイン候補を絞り込む(2)デザイン決定のタイミングで、デザインモック(色プレート)を用いた測定を実施。視認性スコアをクリアした上で、関係者による目視確認を経て最終デザインを決定する。
そして、量産前の(3)部品確認のタイミングで、製品状態(部品)の視認性スコアを測定し、現物が想定通りにできているかの最終チェックが行われる。
「企画/デザイン工程と、量産工程の双方で、視認性スコアを確認することで、製品としてしっかりと視認性を確保できたものに仕上げることができる」(土屋氏)
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