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MC68000に最適化されたRTOS「pSOS」は波乱万丈の運命を経てVxWorksのカーネルにリアルタイムOS列伝(51)(3/3 ページ)

IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第51回は、MC68000への最適化によって1980〜1990年代に広く採用されたRTOS「pSOS」を紹介する。

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2000年にWind RiverがISIを買収、pSOS+はVxWorksのカーネルに

 そんなISIであるが、2000年2月にWind River Systemsに買収される(Webアーカイブを参照)。

 当初Wind Riverは、2000年第3四半期に同社のTornadoとVxWorksの次世代製品であるCirrusを出荷するが、これと同時期にpSOSystemと統合開発環境のpRISM+の次期製品であるStratusを出荷。2001年にCirrusとStratusを統合するCummulusを出荷するという計画を示した。また、pSOSystem/pRISM+から,VxWorks/TornadoやStratusに移行するための環境と開発キットおよび移行を容易にするためのMigration teamも用意するという話であった。

 ただし、実際にStratusは出荷されなかったというか、Stratusの開発そのものが中断された。その代わりに起きたのは、VxWorksのpSOS+への移行である。VxWorksは連載第3回でもちょっと触れたが、実はカーネルは何度か入れ替わっている。pSOS+はおそらくVxWork v6のコアとして組み込まれることになった。

 VxWorks 6.2のKernel Programmer's Guideを見ると、以下のような記述があったりする。

VxWorks events are based on pSOS operating system events. VxWorks introduced functionality similar to pSOS events (but with enhancements) with the VxWorks 5.5 release.

 ただし、カーネルがpSOS+だといっても、APIそのものはVxWorksであり、また移行キットのリリースもアナウンスが発見できなかったあたり、本当に提供されたのかどうかも怪しい。

 では既存のpSOSystemユーザーは置き去りになったのか? というと、別の会社がソリューションを提供した。Express Logicは2000年3月にThreadXへのマイグレーションを図るための「Evaluation Kit for pSOS+ users」の提供を開始した。2000年8月にはMapuSoft Technologiesが提供するOS ChangerがpSOS+に対応する。他にも、連載第11回で紹介したRTEMSのClassic API(RTEMS API)が結構pSOS+のAPIに近い(同じではない)とされている。

 さらに、連載第24回でも説明したRoweBotsが、2007年にReliantという名称のオープンソースのpSOS+互換RTOSをリリースしたという話があるのだが、こちらはその存在を確認できていない。現実問題としてはThreadXに移行するか、MapuSoftのOS Changerを使うかという感じになったのではないかと思う。せっかくのpSOSystemユーザーをWind Riverがどの程度つなぎとめられたのかは不明である。

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