工程全体の可視化達成は2割未満、2024年製造業のデジタル変革に関する展望調査:FAニュース
ゼブラ・テクノロジーズは「2024年製造業のデジタル変革に関する展望調査」の内容を発表した。
ゼブラ・テクノロジーズは2024年9月19日、東京都内で記者会見を開き、「2024年製造業のデジタル変革に関する展望調査」の内容を発表した。
同調査によれば、世界の製造業者の61%が2029年までにAI(人工知能)によって成長が加速すると期待しており、2024年の41%より増加している。また、アジア太平洋地域(APAC)に限れば、それぞれ68%と46%だった。
グローバルでは92%、APACでは87%の回答者がデジタル変革を優先事項としており、ゼブラ・テクノロジーズでは、データ管理を改善し、製造プロセス全体の可視性および品質を向上する新しいテクノロジーを活用したいという製造業者の意向を反映しているとした。
製造プロセス全体で進行中の作業をリアルタイム監視している世界の製造業者は16%、APACでも25%にとどまった。
世界の製造業者の57%(APACは63%)は、2029年までに生産およびサプライチェーン全体の可視性が向上することを期待している一方、33%(APACは38%)の経営陣は、投資先についてITとOTの同意獲得がデジタル変革を妨げる要因になっていると回答した。
さらに、世界の製造業の経営陣の86%(APACは82%)が、技術革新の速度についていくこと、工場やサプライチェーンを通してデバイス、センサー、テクノロジーを安全に統合することに苦労していると回答した。
現在の最も重要な品質管理の問題としては、リアルタイムの可視化(世界 33%、APAC 40%)、新しい基準や規制への対応(世界 29%、APAC 30%)、データの統合(世界 27%、APAC 31%)、トレーサビリティーの維持(世界、APACともに27%)が指摘された。
調査は2024年2〜3月にアジア、欧州、中南米、北米の自動車、電子機器、食品・飲料、医薬品、医療機器など製造部門の経営幹部、ITおよびOTの意思決定者1200人を対象にオンラインで実施した。
ゼブラ・テクノロジーズが今回のように大規模に製造業向けの調査を行ったのは初めてだという。同社では現在、「コネクテッドファクトリー」を掲げ、実用的な可視化/労働力の増強/最適化された品質という3つの具体的な取り組みを進めている。
ゼブラ・テクノロジーズジャパン 社長の古川正知氏は「製造業の全ての工程に対して最適なソリューションを展開することで、現場の改善を図っていきたい。それによってユーザーのさらなる品質の向上、コストの削減、事業の柔軟性と拡張性を実現できる」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 固定型産業用スキャナーからマシンビジョンに変身、ソフトウェアで機能拡張可能
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは「画像センシング展 2023」において、新たに日本で販売を始めた固定型産業用スキャナーおよびマシンビジョンソリューションなどを用いたデモンストレーションを披露した。 - 物流、小売業界の世界的トレンドを発表、最新技術活用が課題解決の鍵に
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは、運輸、物流および小売業界における今後の世界的トレンドを発表した。革新的な技術を導入して、サプライチェーンの可視化の改善が重要だと位置付ける。 - コロナ禍から2年、今小売業界で何が求められているのか
ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンは、第14回目となる「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果について説明。長引くコロナ禍の中で、実店舗への客足は戻りつつあるものの以前のレベルに戻るような状況ではない中、「モバイルコマースの台頭」「流通経路の多方向化」「購買方法の多様化」が課題になっているという。 - スマートファクトリーを末端から支える「RFID活用」
RFIDタグ技術の自動車製造ラインなどでの採用が進んでいる。ドイツのインダストリー4.0などが示す高度自立分散型「スマートファクトリー」の基幹技術の1つとしても注目される同技術。あらためて産業用途でのRFID技術を整理するとともに、製品動向を紹介する。 - RFIDタグメーカーだった村田製作所、RFIDソリューションベンダーに生まれ変わる
村田製作所は「第20回自動認識総合展」において、これまでも提案してきたUHF帯RFIDタグに加えて、リーダーで読み取ったデータを基幹システムで利用できるようにする「RFIDミドルウェア」や、収集したデータの見える化を行うクラウドベースの「BIダッシュボード」などを展示した。 - 飲料容器へのRFIDタグ貼り付けを自動化、遮断扉なしのゲート型RFIDリーダーも
凸版印刷は、「第20回自動認識総合展」において、紙製の飲料容器であるカートカンへのRFIDタグの自動貼り付けや、ゲート型RFIDリーダーによる一括読み取りなど、同社グループ製品によるデモンストレーションを披露した。