新車生産は国内が不正からの回復でプラス、海外は中国で苦戦続く:自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)
乗用車メーカーの2024年7月の世界生産台数は、8社合計が3カ月連続で減少した。
ホンダ
ホンダの7月のグローバル生産台数は、前年同月比5.0%増の29万5025台と3カ月ぶりにプラスとなった。このうち海外生産は、同5.0%増の23万3346台と3カ月ぶりに増加した。北米は米国での「シビック」や「CR-V」の生産増加により同18.0%増と2カ月ぶりのプラス。中国もEV市場の競争激化は続いているものの同0.4%増と前年並みを維持し、3カ月ぶりに前年実績を上回った。ただ、東南アジアが低調だったこともあり、アジアトータルでは同5.4%減と3カ月連続で減少した。
国内生産は、前年同月比4.6%増の6万1679台と2カ月ぶりに前年実績を上回った。国内販売では、最量販車種の「N-BOX」が8月の車名別販売ランキングで首位となった他、8年ぶりのフルモデルチェンジで6月に新型を発売した国内主力車種の「フリード」が前年比5割増と大きく伸長。半導体など部品の供給改善で「ヴェゼル」や「ZR-V」も大幅増を記録した。
スズキ
スズキの7月のグローバル生産は、前年同月比0.2%減の29万3820台と2カ月連続で減少した。このうち海外生産は同3.7%減の20万4430台と2カ月連続のマイナス。世界生産の6割を占めるインドは同0.6%減と微減で、2カ月連続の減少だった。ただ、前年の増産の反動減が表れたハンガリーや、市場低迷により減産したインドネシアなど、インド以外の海外生産が同26.6%減と低迷しており17カ月連続で減少した。
国内生産は、前年同月比8.9%増の8万9390台と6カ月連続の増加。2023年11月以降に新型を投入した「スペーシア」や「スイフト」がけん引。特にスペーシアは2024年8月の国内販売が同27.3%増と好調で、車名別ランキングでもN-BOXに次ぐ2位につけた。また、輸出向けの新型スイフトなども国内生産の増加に寄与した。
日産自動車
最も低調だったのが日産だ。7月のグローバル生産は、前年同月比12.5%減の23万7462台と2カ月連続のマイナスで、スズキに次ぐ4位となった。長らく好調が続いていた国内生産にブレーキがかかっており、同18.1%減の5万2246台と5カ月連続のマイナス。8社の国内生産で唯一の前年割れとなった。主力モデルの「エクストレイル/ローグ」が台数を減らした。このため輸出も同19.3%減と2カ月連続で減少した。
海外生産は前年同月比10.8%減の18万5216台と2カ月連続で前年実績を下回った。米国は同0.6%減と3カ月連続の減少で前年並みだったが、メキシコは「セントラ」の台数減で同11.0%減と2桁パーセント減となり4カ月連続で減少した。さらに中国が同26.9%減と低迷し、2カ月連続のマイナスだった。英国も「リーフ」の生産終了により同7.0%減と2カ月連続で減少した。
ダイハツ工業
一連の認証不正による稼働停止を経て、ようやく本格回復に動き出したのがダイハツだ。7月の国内生産は、現行モデル全ての稼働が再開されたことで、前年同月比25.7%増の6万6558台と2カ月連続で前年実績を上回った。内訳は、軽自動車が同32.6%増、登録車は同8.5%増だった。
海外生産は、前年同月比1.3%減の7万1693台と、2カ月連続で減少した。インドネシアが同11.0%減と低迷した。マレーシアは同13.0%増と好調で8月生産として過去最高を更新したが、インドネシアの落ち込みをカバーしきれなかった。とはいえ、国内生産が大きく回復したことにより、7月のグローバル生産は、同10.1%増の13万8251台と、認証不正による稼働停止以降では初めてとなる11カ月ぶりのプラス転換を果たした。
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