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ヤマ発がロボティクス事業所を増築 実装機は2倍、スカラロボは3倍の生産能力へスマートファクトリー(1/3 ページ)

ヤマハ発動機は40周年を迎えたロボティクス事業を記念するセレモニーを行い、約90億円を投資して増改築工事を行った浜松ロボティクス事業所を報道陣に公開した。

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 ヤマハ発動機は2024年9月17日、40周年を迎えたロボティクス事業を記念するセレモニーを行い、約90億円を投資して増改築工事を行った浜松ロボティクス事業所(浜松市中央区)を報道陣に公開した。

自社工場の自動化を目的にロボットの開発に着手


右側の建屋が新たに増築した部分[クリックで拡大]出所:ヤマハ発動機

 ヤマハ発動機のロボティクス事業は2024年で40周年を迎える。もともと、1974年に自社のバイク工場の生産性向上を目的に産業用ロボットの開発をスタートし、1979年にスカラロボットのCAME(Computer Aided Manufacturing Equipment)を小型エンジンの組み立て工程に導入した。

 そして、自社製ロボットを販売するため、1984年にIM(Intelligent Machinery)事業部としてロボティクス事業が同社の浜北工場内(浜松市浜名区)で始動し、スカラロボットの販売を開始。当時のCAMEの最大可搬重量は10kg、毎秒2.7m、繰り返し位置決め精度は±0.05mmだった。

初代のスカラロボット「CAME
初代のスカラロボット「CAME」[クリックで拡大]

 1987年には表面実装機の販売を始め、2015年には日立ハイテクから表面実装機の事業を譲受している。2015年には半導体後工程装置を手掛ける新川、アピックヤマダを経営統合した。2017年に現在の地に浜松ロボティクス事業所を設立した。

 浜松ロボティクス事業所では、表面実装機や産業用ロボット、半導体製造装置の開発や生産を行っている。今回の増改築はさらなる事業拡大に向けた投資となる。

 延べ床面積は5万2317m2から8万5858m2へと約1.6倍に、生産面積は約1.8倍に拡充している。表面実装機は月産500台から1000台へ、産業用ロボットは月産1000台から3000台へと生産能力は拡大するという。

 ヤマハ発動機 ソリューション事業本部 ロボティクス事業部 製造統括部長の内山真浩氏は「FA業界は受注変動が非常に激しい。それに対応するため、大広間による生産能力アップに加えて、生産レイアウトの変更をしやすくして柔軟な生産ができるようにしている」と語る。


スカラロボットの組み立て工程。1工程10分で下から組み立てていく[クリックで拡大]

 表面実装機のユニットの組み立てには一部で協働ロボットを試験導入している。作業者が段取り替えをすることなく、協働ロボットによるねじの締め付けや接着剤の塗布、抵抗値の測定などを自動化できている。これにより、5人で行っていた工程を、2人で担うことができている。

 2025年には、生産量の多い8mmのフィーダーの自動組み立てラインを立ち上げる予定だ。2030年までに表面実装機「YRM20」の製造工程の50%を自動化する目標を掲げている。


表面実装機の生産能力は2倍に高まる[クリックで拡大]

 さらに振動や温湿度、防音などの評価、実験設備を強化して従来比で1.9倍に、開発人員の増強に対応するため執務スペースも同1.8倍に拡充している。

 その他、1.6倍となった表面実装機のショールームの面積は最先端の自動化ラインを展示。FAのショールームの面積も従来比2.6倍に拡大し、リニアコンベヤーモジュールなどのμm単位の精密な位置決めから屋外向けの搬送に用いる自動運転車まで紹介している。拡充した2024年4月以降、ショールームの1カ月当たりの来場者数は2023年と比べて4倍になっているという。


FAのショールームの面積は2.6倍に拡大[クリックで拡大]

 増築エリアへの追加設置により太陽光発電パネルの設置面積は従来比3倍になった。その他、食堂も含めた建物内をオール電化とし、2022年からのCO2フリー電力の導入などにより、同社としては初のカーボンニュートラル達成工場となっている。

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