業況はコロナ禍以前の水準に回復 今後は無形固定資産への投資が重要に:ものづくり白書を読み解く(2)(5/6 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2024年版ものづくり白書」が2024年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2024年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
国内事業所の新増設が活発化、設備投資額は約30年ぶりの高水準に
日本の製造業においては、直近1年間で「日本国内において事業所を新増設」や「既存の事業所を移転(日本国内間での移転)」を実施した企業が多い(図19)。今後については、「既存の事業所を移転(日本国内間での移転)」「海外の国・地域において事業所を新増設」「日本国内において事業所を新増設」と回答する事業者がいずれも増加しており、国内間での移転や国内外における新増設の動きがみられる(図20)。
名目民間企業設備投資額を見ると、2020年7〜9月期に底を打った後、2022年4〜6月期には新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の水準を上回った。その後も増加傾向が続き、足元では100兆円規模と約30年ぶりの高水準を示している(図21)。このことから、2024年版ものづくり白書では、「着実な潮目の変化がみられる」としている。
製造業の設備投資額は、2012年7〜9月期以降、減価償却費を上回って推移している。2021年4〜6月期から新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が緩和されたこと等を受け、増加傾向が続いている(図22)。
有形固定資産と無形固定資産への設備投資額の推移をみると、無形固定資産への投資額は、有形固定資産と比べると水準としては低いものの、2023年には2015年比で約7割増加しており、有形固定資産の約2割と比べても高い増加率となっている(図23)。
無形固定資産投資のうち、製造業のソフトウェア投資額の推移をみると、2023年は約1兆9000億円と前年比で約3000億円の増加となり、「自動車・同附属品製造業」を中心に多くの業種で前年に比べて増加している(図24)。
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