デンソーが“理想”を織り込んだスマート工場を建設、ECUを24時間無人稼働で生産:工場ニュース
デンソーは、愛知県西尾市にある善明製作所の敷地を拡張し、新たな工場を建設する。2025年度上期に着工し、2028年度上期から生産を開始する予定。工場建屋の総投資額は約690億円を見込む。
デンソーは2024年9月9日、愛知県西尾市にある善明製作所の敷地を拡張し、新たな工場を建設すると発表した。2025年度(2026年3月期)上期に着工し、2028年度上期から生産を開始する予定。工場建屋の総投資額は約690億円を見込む。
クルマにおいて、電動化製品や高度運転支援システム(ADAS)製品を制御するECU(Electronic Control Unit)は重要な役割を担うようになっているが、今後SDV(Software Defined Vehicle)などの進展で、さらにクルマの各機能を横断的に制御する大規模統合ECUがキーデバイスとなる見込みだ。新工場では、主に大規模統合ECUの生産を行う。敷地面積は約51万m2で、工場面積は約5万6000m2。
今回の新工場は、デンソーの次世代工場のコンセプトを、工場の構想段階から織り込んだ初めての工場となる。
製品を構成する部品やそれらの材料を標準化し、設備組み換えが容易な生産ラインと組み合わせ、1つのラインで多品種の生産を実現し、製品の種類や量の変動にスピーディーかつ柔軟に対応する「フレキシブル生産システム」を実現する。生産設備を構成する部品やユニットについても標準化を進め、加工プログラムも標準化することで、設備の新設や組み換えといった生産準備にかかる時間を大幅に短縮している。
さらに、24時間無人稼働を実現する。工場内に設置したカメラやセンサーで設備やモノの流れを常時監視し、設備停止につながる予兆を検知した場合は、遠隔判断により設備の停止前に対応する。また、生産ラインだけでなく、材料や部品などの荷卸から工場内での搬送、材料の補給や投入、製品出荷のための梱包までを自動化することで完全無人化を目指すという。
これらの実現にデジタル技術をフル活用する。デジタルツイン技術で仮想空間に工場を再現し、設備製作前に設備の動作をシミュレーションすることで事前検証を行い、効率的でムダのない生産システム構築を行う。さらに、これまでのモノづくりを通じて蓄積してきた現場のノウハウを形式知化し、誰もが使えるようにデータベースとするそのデータベースを活用し、より高いレベルの自動化を推進することで、スピーディーに改善サイクルを回し、モノづくりの進化を促進する。
また、新工場では、太陽光パネルによる自家発電や水素などを活用し、環境にやさしいカーボンニュートラルな工場を目指すとしている。
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