ソニーセミコンがエッジAIを物流業界に提案、トラックの荷待ち時間管理を自動化:国際物流総合展2024
ソニーセミコンダクタソリューションズは、「国際物流総合展2024」において、エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」を用いた物流業界向けソリューションを紹介した。
ソニーセミコンダクタソリューションズは、「国際物流総合展2024」(2024年9月10〜13日、東京ビッグサイト)において、エッジAI(人工知能)センシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」を用いた物流業界向けソリューションを紹介した。
AITRIOSは、2020年6月に発表したインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」をベースに、センシングソリューションの効率的な開発と導入を可能にすることを目的に2021年6月にスタートしたサービスである。一般的なAIカメラは、画像データをクラウドやサーバに送信してAIモデルを用いて処理するのに対して、AITRIOSはエッジAI処理機能を融合したイメージセンサー上でAIモデルの処理を行うので、画像データをやりとりする通信のコストや負荷を低減できるとともに、高いリアルタイム性を持ったAI処理を実現できることを特徴としている。
今回の展示で紹介したのは、2024年5月の流通業務総合効率化法の改正で求められているトラックの荷待ち/荷役時間を把握するソリューションである。AITRIOS搭載のエッジAIカメラを用いて、トラックのナンバープレートを検知して、ゲートとバースにいつ入って出ていったのかを検知してクラウドに自動記録し、それらの時刻データの差分からトラックの荷待ち/荷役時間を把握するという内容になっている。AITRIOSを用いたソリューションの開発は、アクセンチュアとマイクロソフトが合弁で設立したアバナードが担当した。
改正された流通業務総合効率化法の施行では、2025年度の努力義務に続き、2026年度には大規模事業者への義務化が始まる。このため、トラックの荷待ち/荷役時間を把握するソリューションの需要は急速に高まりつつある。まず、ナンバープレートを正確に検知するには既存の監視カメラを流用するのが難しいためカメラは新規に導入する必要がある。一方、これらのカメラの画像データをクラウドで処理する場合は、データ通信とクラウドのコストが大きくなる。クラウドではなくエッジサーバで処理する場合は、クラウドのコストはかからないものの、百万円前後というエッジサーバの価格が課題になる。
これに対して、AITRIOSのエッジAIカメラは屋外用が5万円で一般的な屋外用カメラと同程度だ。屋内用も3万円に抑えている。「画像データの処理がエッジAIカメラ内で完結するのでデータ通信のコストを大幅に抑えられるし、エッジサーバを導入する必要もない。個人情報保護の観点でも、エッジAIカメラから出す情報をトラックのナンバープレートとゲートやバースを入退した時刻だけに制限できるというメリットがある」(ソニーセミコンダクタソリューションズの説明員)としている。
同ソリューションは、ゲート入退管理、バース入退管理の機能は既に提供可能で、トラックの荷待ち時間についてはこれらで自動記録が行える。現在は、トラックへの積載や荷降ろしといった作業検知をエッジAIカメラで行うPoC(概念実証)を進めており、この機能を実用化できれば庫内準備時間などを除いたより正確な荷役時間の自動記録も可能になる。なお、ソリューションの開発では、三井倉庫サプライチェーンソリューション、三井不動産、Hacobu、プロロジス、ヘッドウォータース、NEC、レスターが協力している。
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