連載
使わなければ話にならない「接触要素」(その1):CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(12)(1/5 ページ)
金属疲労を起こした際にかかる対策コストは膨大なものになる。連載「CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる」では、CAEを正しく使いこなし、その解析結果から疲労破壊の有無を予測するアプローチを解説する。連載第12回では、本連載の1つ目の本丸である「接触要素」について取り上げる。
いよいよ、本連載の1つ目の本丸、「接触要素」について説明しますが、一言でいうと「接触要素を使わなければ話にならない」となります。それでは、解説を進めていきましょう。
連載第1回の問題
連載第1回では、フレーム構造物に図1のような繰り返し荷重が作用した際、フレームに図2に示す割れが発生したことを紹介しました。荷重回数が104[cycles]程度なので、ギリギリ高サイクル疲労に分類されます。
そして、応力解析をしたところ図3のような応力分布を示し、ブラケットとの結合部で応力集中が発生していることが分かり、この分布からフレームには図4のようなき裂が発生することが予測されました。
しかし、実際に生じたき裂は図5のようなものでした。CAE解析結果を確認してみても図5のようなき裂が発生する応力は見られません。もっともらしい応力分布が出たのですが、どうやら現実を反映していない応力解析でした……。そもそも、フレームが図4のように「ポキッ」と折れるような事象は聞いたことがありません。
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