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中国メーカーの急成長を導いた「製造デジタルプラットフォーム」とは中国メーカーのデジタルプラットフォーム戦略(1)(3/3 ページ)

中国メーカーがグローバル市場で大きな存在感を示すようになって久しい。急激な発展の要因の1つに、同国が国家レベルで整備を進める「製造デジタルプラットフォーム」の存在が挙げられる。本連載では事例を交えながら、製造デジタルプラットフォームを巡る現状を解説していきたい。

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典型的な製造デジタルプラットフォームの事例

 ここまで製造デジタルプラットフォームについてやや概念的な話を中心に解説してきた。では、実際に中国製造業がどのような製造デジタルプラットフォームを活用しているのか。詳しくは次回以降に説明するが、ここでは代表的な事例を幾つか紹介しよう。

ファーウェイの「Fusionplant」

 中国の通信機器大手メーカーである華為技術(ファーウェイ)の製造デジタルプラットフォーム「FusionPlant」は、産業用IoTプラットフォーム、AIに基づく産業用インテリジェンスエージェント、産業用PaaSの3つの部分で構成されている。パートナー企業に産業用データへのフルアクセスを提供し、クラウド上での迅速なビジネス開発を実現する。データを他の業界パートナーにも開放することで、業界全体に力を与え、品質の向上やコストの削減、効率性向上を支援する。

 ファーウェイは4年間にわたる多額の投資を経て、FusionPlant上に2400個以上の産業用アプリを集めた。さらに、鉄鋼や鉱業、建材、家電、自動車、その他の産業を含めて約2万3000社に産業用アプリケーションを提供している。

 FusionPlantは機器製造や電子情報、金属加工、自動車部品などの50以上の産業クラスタを対象とした140以上の「工業インターネット産業クラウドイノベーションセンター」に導入されており、産業利益の増加と強化を目的とした産業インターネットプラットフォームを確立している。 FusionPlantは、主に長江デルタ、珠江デルタ、四川/重慶および中国中部の経済圏を始め、トップ100の工業地区や発展した地域をカバーしている。

ハイアールの「COSMOPlat」

 中国の大手家電メーカーであるハイアールの製造デジタルプラットフォーム「COSMOPlat」は、6年間に及ぶ同社の中国大手企業に対するサービス提供の経験に基づいて、主要業界の顧客にサービスを提供する「デジタルプラットフォーム+業界知識」のシナリオベースのソリューションを模索してきた。

 製品化とソリューションベースラインを通じて、プラットフォームは「一般パッケージ+業界パッケージ」の組み合わせモデルを主軸にして、洗練させた。一般パッケージは主に自社開発したプラットフォームコンポーネントとソフトウェア、ハードウェア製品のコンポーネントを含むプラットフォームだ。一方で、業界シナリオパッケージは、業界知識の体系化を通じた産業メカニズムモデルを構築するためにパートナーと共同で構築したものとなっている。

 COSMOPlatは製造デジタルプラットフォームとして、中国における独立した知的財産権と全プロセスにわたるユーザーエンゲージメントをカバーする。相互進化と価値共有の理念に基づき、COSMOPlatはマスカスタマイゼーションモデルのイノベーション、情報技術と製造技術の融合、さまざまな業界のマイクロエンタープライズメカニズムを採用している。このようにして、COSMOPlatは相互作用と価値共有を強化し、新しいアイデアを引き出し、起業家とイノベーションをサポートするプラットフォームを目指している。

 次回からは、中国メーカーによる製造デジタルプラットフォームの具体的な活用事例を紹介していきたい。

李 時豪(Adel Li)
首都大学東京(現東京都立大学)、HEC経営大学院(HEC Paris)ダブルマスター卒

日立製作所にて機械エンジニアを経験後、Accenture、Capgiminiでビジネスコンサルタント、セールスとしての経験を積み、製造業を中心にグローバル展開戦略構想策定からハンズオン型の実行支援まで広範なテーマに多数従事する。特に、中国、ヨーロッパ、東南アジアなどにおけるグローバル知見やネットワークが豊富。2022年にHopejets Consultingを創業し、製造業向けの海外進出戦略、グローバルM&A、IT戦略、PLM導入支援やグローバル人材のマッチングを実施している。


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