新車生産が2年ぶり前年割れ、中国の苦戦や認証不正が響く：自動車メーカー生産動向（1/4 ページ）
半導体の供給緩和で回復していた自動車生産が、減少局面を迎えている。日系乗用車メーカー8社の2024年上期（1〜6月）の世界生産合計は、2年ぶりに前年実績を下回った。下期も予断を許さない状況が続きそうだ。
半導体の供給緩和で回復していた自動車生産が、減少局面を迎えている。日系乗用車メーカー8社の2024年上期（1〜6月）の世界生産合計は、2年ぶりに前年実績を下回った。電気自動車（EV）シフトが進み販売競争が激化した中国で苦戦した他、型式指定の認証不正問題などで国内生産の稼働停止が相次いだことが要因だ。
日系メーカーが得意とするハイブリッド車（HEV）は世界的に好調な販売を維持しているものの、中国市場は依然として厳しい状況が見込まれる他、日系メーカーにとって最大市場である米国では景気減速も懸念されており、下期も予断を許さない状況が続きそうだ。
| 国内 | 海外 | （うち北米） | （うち中国） | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| トヨタ | 1,508,416 | 3,140,447 | 1,081,969 | 646,371 | 4,648,863 |
| ▲ 8.2 | ▲ 3.4 | 8.4 | ▲ 21.4 | ▲ 5.0 | |
| ホンダ | 333,207 | 1,551,751 | 834,106 | 415,797 | 1,884,958 |
| 1.8 | ▲ 8.2 | 8.7 | ▲ 32.7 | ▲ 6.6 | |
| スズキ | 519,132 | 1,157,050 | - | - | 1,676,182 |
| 11.0 | 3.4 | - | - | 5.7 | |
| 日産 | 328,192 | 1,285,920 | 626,911 | 338,486 | 1,614,112 |
| ▲ 4.4 | ▲ 4.4 | 4.1 | ▲ 8.1 | ▲ 4.4 | |
| マツダ | 368,528 | 223,460 | 155,510 | 37,542 | 591,988 |
| ▲ 11.4 | 15.1 | 20.3 | 30.9 | ▲ 2.9 | |
| ダイハツ | 147,598 | 379,359 | - | - | 526,957 |
| ▲ 62.8 | ▲ 6.7 | - | - | ▲ 34.4 | |
| 三菱 | 239,626 | 228,129 | - | 0 | 467,755 |
| 0.0 | ▲ 13.8 | - | - | ▲ 7.2 | |
| スバル | 253,683 | 197,927 | 197,927 | - | 451,610 |
| ▲ 8.4 | 17.4 | 17.4 | - | 1.4 | |
| 合計 | 3,698,382 | 8,164,043 | 2,896,423 | 1,438,196 | 11,862,425 |
| ▲ 10.0 | ▲ 3.3 | 8.7 | ▲ 21.8 | ▲ 5.5 | |
| ※上段は台数、下段は前年比増減率。単位：台、％ ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 | |||||
2024年上期の世界生産の8社合計は、前年同期比5.5％減の1186万2425台だった。スズキとSUBARU（スバル）を除く6社が前年実績を下回った。半導体不足が改善した2023年上期の実績が高水準だったこともマイナスに作用した。
このうち国内生産は、前年同期比10.0％減の369万8382台で、2年ぶりのマイナス。ホンダ、スズキ、三菱自動車を除く5社が前年度実績を下回った。減少の要因としては、型式認証に関する不正問題や能登半島地震による部品供給などの影響が表れた。特に2023年12月末から国内全ての生産拠点を停止したダイハツ工業が大きく台数を落とした他、国内生産の半数弱を占めるトヨタが認証不正関連や品質問題で稼働停止を余儀なくされたことも響いた。
海外生産も、前年同期比3.3％減の816万4043台と2年ぶりのマイナス。スズキ、マツダ、スバルを除く5社が前年実績を下回った。北米は旺盛な需要やHEV販売の好調により同8.7％増の289万6423台と2年連続で増加した。また、インド市場も堅調に推移した。
一方低迷したのが、中国や東南アジアだ。中国は市場のEVシフトと依然として現地メーカーによる価格競争の激化が続いており、HEVを得意とする日系メーカーは苦戦。このため日系各社は生産体制を縮小するなどで稼働率の維持を図ろうとしているが、日系5社の中国生産は前年同期比21.8％減の143万8196台と3年連続で減少した。東南アジアは主要市場のタイが経済低迷で市場が冷え込んでいる他、インドネシア市場も自動車ローンの金利上昇で低調だった。
6月単月は6社が前年割れ
6月単月も厳しい結果となった。8社合計の世界生産は、前年同月比12.3％減の193万2487台と2カ月連続で減少した。マツダとスバルを除く6社が前年実績を下回った。このうち国内生産は同9.7％減の65万6391台と2カ月ぶりのマイナス。スズキとダイハツを除く6社が減少した。特に台数の多いトヨタ自動車が認証不正などで主力モデルの生産を停止したことが響いた。
海外生産はさらに厳しく、前年同月比13.6％減の127万6096台と2カ月連続のマイナスだった。マツダとスバルを除く6社が前年割れとなった。競争が激しい中国が同31.9％減と5カ月連続で減少した他、好調の北米も前年の好調の反動や稼働日が少なかったことなどにより、同4.6％減と3カ月ぶりのマイナスだった。
| 国内 | 海外 | （うち北米） | （うち中国） | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| トヨタ | 254,010 | 541,852 | 174,011 | 131,475 | 795,862 |
| ▲ 18.8 | ▲ 9.9 | ▲ 6.2 | ▲ 21.7 | ▲ 12.9 | |
| ホンダ | 56,037 | 234,917 | 131,460 | 58,641 | 290,954 |
| ▲ 0.9 | ▲ 25.5 | ▲ 5.0 | ▲ 55.3 | ▲ 21.8 | |
| スズキ | 85,324 | 149,506 | - | - | 234,830 |
| 6.1 | ▲ 8.8 | - | - | ▲ 3.9 | |
| 日産 | 51,053 | 195,358 | 90,824 | 53,873 | 246,411 |
| ▲ 18.2 | ▲ 15.8 | ▲ 10.9 | ▲ 14.8 | ▲ 16.3 | |
| マツダ | 66,543 | 36,245 | 24,499 | 5,695 | 102,788 |
| ▲ 2.9 | 19.0 | 16.2 | 39.8 | 3.9 | |
| ダイハツ | 50,572 | 57,341 | - | - | 107,913 |
| 10.3 | ▲ 9.9 | - | - | ▲ 1.4 | |
| 三菱 | 38,517 | 30,715 | - | 0 | 69,232 |
| ▲ 11.0 | ▲ 31.2 | - | - | ▲ 21.3 | |
| スバル | 54,335 | 30,162 | 30,162 | - | 84,497 |
| ▲ 5.0 | 17.6 | 17.6 | - | 2.0 | |
| 合計 | 656,391 | 1,276,096 | 450,956 | 249,684 | 1,932,487 |
| ▲ 9.7 | ▲ 13.6 | ▲ 4.6 | ▲ 31.9 | ▲ 12.3 | |
| ※上段は台数、下段は前年比増減率。単位：台、％ ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 | |||||
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