産業メタバースで変わりゆく都市づくり、進むスマートシティ構築の未来(後編):デジタルツイン×産業メタバースの衝撃(6)(3/6 ページ)
本連載では、「デジタルツイン×産業メタバースの衝撃」をタイトルとして、拙著の内容に触れながら、デジタルツインとの融合で実装が進む、産業分野におけるメタバースの構造変化を解説していく。
点群データを自動運転や空飛ぶクルマにも活用
さらには点群データを自動運転の実証にも活用している。後述の自動運転に必要となる高精度地図を提供するダイナミックマッププラットフォームと連携し自動運転検討の高度化を図る。ダイナミックマッププラットフォームが整備している高速道路や自動車専用道路とともに、山間地域の道路の点群データを活用してより広い地域で自動運転が実現できるための連携を行っている。これらの自動運転の実証を通じて、街づくりの検討をデジタルツイン上で行い、よりよい街づくりの検討に役立てる計画だ。
空飛ぶクルマの検討においてもこれら点群データは生きてくる。VIRTUAL SHIZUOKAは電線や高圧線も含めて厳密なデジタルツインを生成している。このため、空飛ぶクルマやドローン宅配などの厳密な飛行ルートシミュレーションにも活用できるのだ。
点群3Dデータを幅広い領域のイノベーションの土台に
このように静岡県では、点群3Dデータを多くのイノベーションの土台として活用している。先述の防災や自動運転/空飛ぶクルマとともに、建設産業における生産性向上、バーチャルツアーでの観光展開、森林管理、教育や行政サービスの検討など、幅広い用途で点群活用を見込んでいる。静岡県では多くの企業やスタートアップ、行政機関、研究機関との連携を通じた取り組みが進む。
今後日本、ひいては世界の3Dデータ活用のフロントランナーとして、より幅広い領域でのサービス創出や、他自治体、企業、アカデミアなどとの連携を加速する考えだ。
Metaverse SHIZUOKAの取り組み
VIRTUAL SHIZUOKAで静岡県を丸ごとスキャンした3D点群データを活用し、静岡県を8つのエリアに分けたメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築している。Virtual SHIZUOKAは高精度なスキャンを通じた防災や自動運転、街づくり等に生かすデジタルツインとして活用しているのに対して、当取り組みはより県外や海外への発信、デジタル観光、若者との県政に対する意見交換などコミュニケーション分野での活用に重きを置いている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.