ニュース
無線技術の活用で製造現場は何が変わるのか、オムロンらが協創プロジェクト:スマートファクトリー(2/2 ページ)
ネットワンシステムズ、明治電機工業、オムロンの3社は共同で次世代無線協創プロジェクトを進め、次世代の製造現場の実現を目指す。
AMRを使った無線技術活用のデモンストレーション
当日は、記者会見の会場となったネットワンシステムズのイノベーションセンターにおいて、ローカル5GとWi-Fi(Wi-Fi6、5GHz帯)を活用した、AMRの自律走行やPLCタグデータリンク通信のデモンストレーションを披露した。
AMRにはPLCやローカル5G、Wi-Fiの子機、4Kのネットワークカメラなどが搭載されている。会場にはWi-Fiのアクセスポイントが20個、ローカル5Gの基地局が2個設けられており、ローカル5GおよびWi-Fiによる通信制御でAMRが自律走行できることや、移動するAMRが基地局やアクセスポイントとの間で通信を切り替える際に起こり得るネットワークカメラ映像の乱れなどの影響を確認した。
会場で披露した映像配信のデモンストレーション。左がWi-Fi、右がローカル5Gからの映像[クリックで再生]
会場で披露したPLC間のタグデータリンク通信のデモンストレーション。下がWi-Fi、上がローカル5Gで取得したデータ[クリックで再生]
Wi-Fi利用時では、ネットワークカメラの解像度を落としているにもかかわらず、映像の乱れが生じたが、ローカル5G利用時では4Kの映像がまったく乱れなかった。
PLC間のデータ同期を行うタグデータリンク通信を無線空間で実施するデモンストレーションでは、AMR上にあるPLCの子機が1ms周期で0〜1万までのカウントアップを繰り返し、PLCの親機が50ms周期でデータを取得し、モニターで表示した。Wi-Fiではデータの欠損が生じたが、ローカル5Gでは欠損なくデータを取得した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。 - 工場で広がる「無線」への期待と課題、ローカル5Gは何を変えるのか
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第8回では、製造現場で広がる無線通信活用の課題と生かし方について解説します。 - サブ6解禁でさらに期待高まるローカル5G、コストに見合った価値づくりを急げ
民間での商用サービスが始まった5Gだが、企業や自治体などが5Gを自営網として利用できる「ローカル5G」にも注目が集まっている。2020年末に6GHz以下の周波数帯であるサブ6やSA構成、屋外での利用が利用可能になる法整備が行われ、ローカル5Gへの期待はさらに高まっているが、その導入コストに見合った価値づくりはまだこれからだ。 - 産業用5Gを推進する「5G-ACIA」、製造業ではどう生かす?
世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」の主催者であるドイツメッセは2020年7月14〜15日に初のデジタルイベント「ハノーバーメッセDigital Days」を開催した。本稿では、キーノートスピーチの1つに登壇した5G-ACIA 議長のアンドレアス・ミュラー(Dr. Andreas Mueller)氏による「5G for the Industrial IoT(産業用IoTのための5G)」の内容を紹介する。 - プライベートLTEからローカル5Gへ、ドイツの製造業は進化を止めず
脚光を浴びるIoTだが、製造業にとってIoT活用の方向性が見いだしきれたとはいえない状況だ。本連載では、世界の先進的な事例などから「IoTと製造業の深イイ関係」を模索していく。第5回は、ドイツの製造業が期待を寄せる「プライベートLTE」と「ローカル5G」にスポットを当てる。