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目指すは「物流のオートメーション化」、ソフトバンクロボティクスが提供するロボットソリューションものづくりDXのプロが聞く(2/3 ページ)

Koto Online編集長の田口紀成氏が、製造業DXの最前線を各企業にインタビューする本シリーズ。今回は、ソフトバンクロボティクスの高密度自動倉庫システム「AutoStore」と、部品や荷物を自動で運ぶ搬送ロボット「BellaBot 工業用モデル」について話を伺いました。

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Koto Online

飲食店の配膳ロボットをカスタマイズした「BellaBot 工業用モデル」


業務用運搬ロボット「BellaBot 工業用モデル」

【BellaBot 工業用モデル】

BellaBot 工業用モデルは、工場や倉庫の荷物を自律的に目的地まで運ぶことができる、工業用の搬送ロボットです。BellaBot 工業用モデルは、レストランなどに導入されている配膳運搬ロボット「BellaBot」を工業用にカスタマイズし誕生したもので、あらかじめ登録した目的地まで障害物を避けながら自律的に移動することができます。最大60キロまで積載が可能で、異なるサイズやさまざまな形のものを自由に載せることができ、搬送業務の効率化、人件費の削減などが期待されています。

田口 続いて、BellaBot 工業用モデルについても、特徴を教えていただけますか。

谷口氏(以下、敬称略) 配膳運搬ロボットは、すでにレストランなどで多く稼働しており、目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。このBellaBot 工業用モデルは、飲食店の配膳運搬ロボットを物流倉庫や製造業の工場など向けにカスタマイズしたもので、トレイを取り払うなどすることで、より大きなもの・重いものを運搬できるようになっています。また、交換式のバッテリーとなっていて、稼働時間が長い工場でも24時間稼働することが可能です。


出所:Pudu Technology Inc./SoftBank Robotics

 一般的に、工場では運搬ロボットとしてAGV(Automatic Guided Vehicle・無人搬送機)を用いているところが多いと思いますが、BellaBot 工業用モデルはAGVに比べて形が小さく、70cmの幅があれば通過することができます。

 また、AGVは磁気テープの上を通るため、テープの上に物があると回避できずに止まってしまいますが、BellaBot 工業用モデルは赤外線を使って地形を読み込んで移動しているため、自動で障害物を避けることが可能で、なおかつそうした磁気テープなどの必要もありません。

 さらに、AGVと組み合わせて使っていただくこともできます。例えば大きなパレットをAGVで運搬し、仕分けした後の細かい通路を通る必要があるものをこのBellaBot 工業用モデルで運搬することで、より大きな効率化、負担の軽減を実現することが可能です。

田口 現時点ではパレットから仕分けしたあとのものの運搬になるんですね。運搬する上で苦手なものやまだ対応が難しいものはあるのですか?

谷口 そうですね。大きさという点ではまだ、AGVに劣るところがあると思います。また、現時点で苦手なのは縦の動きですね。搬送ロボットは基本的に横の動きなので、段差などには弱く、階が異なる場所への搬送は今はできません。

 将来的には、例えば建物を管理している設備、システムと連携してエレベーターを呼び出し、搬送ロボットがそれに乗って自動的に異なる階の目的地まで行くようなことにも対応していく予定です。


「将来的には、例えば建物を管理している設備、システムと連携してエレベーターを呼び出し、搬送ロボットがそれに乗って自動的に異なる階の目的地まで行くようなことにも対応していく予定です」(ソフトバンクロボティクスの谷口氏)

田口 工場向けはまだ誕生して間もないプロダクトかと思うのですが、導入してBellaBot 工業用モデルの魅力を理解してもらうために工夫している取り組みはありますか。

照井氏(以下敬称略) まずは、導入した際のメリットをしっかりと確認した上で導入を決めていただけるよう、実際に搬送ロボットを検討いただく際には、トライアルでかなり詳細な報告書を作り、提出するようにしています。このスキームは、われわれの強みの1つでもありますね。具体的には、数週間、1カ月といった一定期間のレンタルを利用していただき、その間にBellaBot 工業用モデルが走行した稼働時間はもちろん、それによって生まれた時間に人間がどこで何をできたか、どのような生産に従事したかまで見て、費用対効果を具体的に算出しています。

 やはりロボットは人とのトレードオフになってくるので、ロボットを活用したことによって何が創出できたか、さらにはロボットを検討いただく目的は何なのかというところを一緒に確認させていただく流れになっています。そのためトライアルの期間は、私たち営業担当に加えてカスタマーサクセスの担当者も頻度高く現地にお伺いし、実際の動きや設定するマップをあれこれ試行錯誤しながら、お客さまに最適なご提案ができるようにしています。


「ロボットを活用したことによって何が創出できたか、さらにはロボットを検討いただく目的は何なのかというところを一緒に確認させていただく流れになっています」(ソフトバンクロボティクスの照井氏)出所:Koto Online

田口 AutoStoreでは、何か導入支援に関して工夫している取り組みはあるのでしょうか。

 物流はコストセンターという位置付けで捉えられていることが多いため、効果はご納得いただけても、費用の面で社内的に通りづらい、導入できないというお客さまがやはり多いのです。その課題を解決するために、われわれとしてもいろいろなサポートをご提供しています。

 1つは補助金関係のご提案です。AutoStore導入の際に活用できる政府の補助金があるのですが、利用には申請や導入効果のレポーティングなど手間や労力もかかります。ここにわれわれが提携している行政書士などがサポートに入り、より導入しやすくする支援をしています。

 それから、資産として持ちたくないというお客さまも一定数いらっしゃるので、リース会社と一緒に初期費用の負担を限りなく低減するご提案をすることもありますね。効果を実感いただいたにもかかわらず、ファイナンスの面で問題が生じているお客さまに対しては、より柔軟にサポートができるようにしています。

田口 導入を検討している顧客との商談や実際に導入した企業へのサポートなどを通じて、製造業の皆さんが悩んでいること、共通している課題などを感じることはありますか。


「製造業の皆さんが悩んでいること、共通している課題などを感じることはありますか」(Koto Online編集長の田口氏)出所:Koto Online

 皆さん共通しているのは人手不足ですね。そもそも採用ができない、という話をよく伺います。それから、倉庫や工場を建てるにも、ここ最近は坪単価が年々上昇しています。スペースが足りなくなっても簡単に新たな倉庫を作るわけにもいかず、通路をつぶして物を置いているというお客さまもいらっしゃいました。保管と作業の効率性に関して、やはり皆さん大きな課題を抱えているので、ロボットの活用で解決のお手伝いができればと日々感じているところです。

CORE CONCEPT TECHNOLOGIES INC.

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