目指すは「物流のオートメーション化」、ソフトバンクロボティクスが提供するロボットソリューション:ものづくりDXのプロが聞く(1/3 ページ)
Koto Online編集長の田口紀成氏が、製造業DXの最前線を各企業にインタビューする本シリーズ。今回は、ソフトバンクロボティクスの高密度自動倉庫システム「AutoStore」と、部品や荷物を自動で運ぶ搬送ロボット「BellaBot 工業用モデル」について話を伺いました。
本連載は製造業のDXに携わる人のためのメディア「Koto Online」に掲載された記事を転載しています。記事の情報は、Koto Online掲載時の2024年5月時点のものです。Koto Onlineは業界のトップランナーへのインタビュー等を通し、製造業の未来に触れられるコンテンツを発信しています。
人型ロボット「Pepper」など、ロボットを通じたさまざまな事業展開を続けるソフトバンクロボティクス。2022年から物流事業に参入し、「物流のオートメーション化」を目指して、テクノロジーを駆使した新たなソリューションを提供しています。
「ものづくりDXのプロが聞く」は、Koto Online編集長の田口紀成氏が、製造業DXの最前線を各企業にインタビューするシリーズです。今回は、物流業界のみならず製造業においても活用が期待されるソフトバンクロボティクスの高密度自動倉庫システム「AutoStore」と、部品や荷物を自動で運ぶ搬送ロボット「BellaBot 工業用モデル」の2つについて、お話を伺いました。
左から田口紀成氏(Koto Online編集長)、岡六月氏(ソフトバンクロボティクス)、谷口佑介氏(ソフトバンクロボティクス)、照井英之氏(ソフトバンクロボティクス)[クリックで拡大]出所:Koto Online
省スペース、作業の効率化を実現する自動倉庫システム「AutoStore」とは
【AutoStore】
AutoStoreは、ノルウェーで誕生した自動倉庫システム。ジャングルジムのように格子状に組み上げられたグリッド(レール)の中にビンと呼ばれる専用の箱を格納し、グリットの上をロボットが素早く移動してビンをピックアップ、作業者がいる場所まで運びます。物流倉庫はもちろん、多様な部品を運搬する必要がある製造業の工場でも世界中で導入されており、アメリカの顧客導入実績によると、保管効率4倍、出荷数2倍、人件費50%削減を実現しています。
田口氏(以下、敬称略) 最初に、AutoStoreについてお伺いします。物流倉庫などに導入する自動倉庫システムはいろいろなタイプがあると思いますが、このAutoStoreの強み、特徴としてはどのような点が挙げられますか。
岡氏(以下、敬称略) AutoStoreの大きな特徴の1つは、保管効率の高さです。一般的な倉庫では、荷物をピッキング・運搬するために人間やロボット、クレーンなどが移動する通路の確保がどうしても必要となってきます。その点、AutoStoreはその通路が不要となる上、さらに天井の空間も無駄なく使えるため、より多くの荷物を保管することができるのです。また、グリッドと呼ばれるレールの上をロボットが走行する仕組みで各システムがモジュール化されているため、導入した後の倉庫の拡充などに柔軟に対応できるのも特徴ですね。
以前は、保管効率が良い一方で物を出すスピードには若干の課題があったのですが、現在はソフトウェアがかなり進化して、いわゆるシャトル式の自動倉庫とほぼ同じぐらいのスピードでピッキング・出荷ができるようになっています。高い保管効率と出荷スピードを兼ね備えている点が、AutoStoreの大きな強みと言えます。
田口 物流システムは、働き方改革や労働人口減少などの影響もあり、今後ニーズが高まるのではないかと考えています。具体的な市場の規模、成長のスピード感としては、どのように受け止めていますか。
岡 次世代物流システム・サービスの市場規模は、2022年度で約7000億円といわれています。自動倉庫システムは、かつて大規模に導入されたAS/RS(Automated Storage Retrieval System)が老朽化してこれから入れ替えの時期になるほか、少子高齢化などによる労働力不足に対し、企業の皆さんが具体的な打ち手を模索しています。当社としても需要の伸びが期待できるチャンスと捉えているところです。
2021年にソフトバンク・ビジョン・ファンド2がノルウェーにあるAutoStoreの株式の40%を取得し、当社は翌年9月に、AutoStoreの日本唯一のグローバル代理店という形で物流事業に本格参入しました。まずは日本国内を優先的に対応していく計画ですが、グローバルのお客さまからもご期待いただいており、われわれとしてもニーズの高いソリューションだと考えています。
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